ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

販売書籍

記事ID:0055415 印刷用ページを表示する 掲載日:2019年8月7日更新

販売書籍 『貞享騒動をたずねて』

当館では、貞享騒動をより深くご理解いただくために書籍『貞享騒動をたずねて』をご用意しております。
本書は、地域歴史研究家の田中薫氏と元当館館長の清水祥二氏が執筆しています。

1部1,000円(税込み)で、当館と平安堂あづみの店さんで取り扱っています。ご購入に関するお問い合わせは当館へ。

【本書「刊行にあたって」より】

『貞享騒動をたずねて』表紙の写真

――ニ斗五升――

農民たちの要求を掲げて松本藩の圧政に敢然と立ち向かった「義民」多田加助は、安曇野の歴史の中でも特に有名な人物です。「貞享騒動」「加助騒動」と呼ばれるこの一揆は、今から330年ほど前、江戸時代の貞享3年(1686)に起こりました。凶作にあえぐ農民たちに、松本藩がさらなる年貢増徴を図ったことが発端だったといいます。
一揆の中心となった中萱村(現在の安曇野市三郷明盛)の多田加助たちは処刑されましたが、農民たちの暮らしを守るために立ち上がった「義民」として称えられ、後世まで語り継がれています。

戦後になり、人権意識の高まりとともに、多くの書物が発表されてきました。
中でも田中薫氏の著書『松本領 貞享義民一揆の実像』は、安曇野市内外に伝わる古文書や記録を広く深く読み込んだ研究成果でした。この書籍は多くの皆さんの関心を集めましたが、さらに多くの皆さんに貞享騒動について知ってもらおうと、本書『貞享騒動をたずねて』を企画・出版いたしました。

貞享騒動は、私たち現代人にはなかなか理解しにくい事件だと思います。
概略は理解したとしても、貞享騒動のキーワードとなる「ニ斗五升」とはどういうことか、また加助たちが松本藩にどんなことを願い出たのか、十分理解できている人はまだまだ少ないようです。
そして彼らはなぜ命を懸けてまで一揆を起こしたのか、決して突発的な事件ではなく、当時の人々が生きるために訴訟を繰り返してきたたたかいであったことも、あまり知られていません。

貞享騒動が他の一揆と違うところは、その後の現代にいたるまでさまざまな物語を生み、演劇や映画となり、また各地にさまざまな伝承を生み続けてきたことです。
本書は、これからの経緯をわかりやすい文章で説明しています。また、戦後の義民顕彰の動きから、貞享義民記念館の開館までの経過も概括されています。その点でも初めての書籍であることも見逃せません。
本書をお読みいただければ、きっと貞享騒動に対する理解も深まることでしょう。そしてより多くの皆さんに関心を持っていただける一冊となることと期待しています。

なお本書の編集にあたり、執筆に当たってくださった田中薫氏をはじめ、市内外の多くの皆様に御協力をいただきました。末筆となりましたが、厚く御礼申し上げます。
                                                                      平成30年3月