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広報あづみの157号(平成24年12月26日発行)

記事ID:0002820 更新日:2015年10月29日更新 印刷ページ表示

内容

  • 特集 安曇野ルール(2ページ)
  • 市政トピックス(18ページ)
  • 今から準備 税の申告(30ページ)
  • 写真で振り返る 2012 年(38ページ)
  • 安曇野検定クイズ(40ページ)

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概要版

地下水の保全・強化・活用を考える 特集安曇野ルール 先人からの恵みを明日へ

安曇野ルールとは…

絶え間なく湧き出る清涼な水―。
この安曇野の豊かな水資源は、あらゆる生命を育み、わたしたちの暮らしを支えています。安曇野ルールとは、先人から受け継いだ水資源、特に地下水の大切さを再認識し、かけがえのない“みんなの共有財産”である地下水を守り、育み、生かし、豊かな安曇野を次世代につなぐためのルールです。
市では、安曇野ルールを盛り込んだ地下水源強化・活用指針をもとに、現在条例制定に向けて取り組んでいます。
今月号では、地下水利用者などの声や新たなルールづくりに向けた取り組みを紹介し、地下水の保全・強化・活用について考えます。

プロローグ

新緑の色が増す5月の夕暮れ時、長峰山山頂から見た安曇野は、アルプスを源とする清流や縦横に走る堰、代かきを終えた水田の水面などが黄金色に輝きます。
安曇野の豊富な水資源は、飲料水はもとより稲作やワサビ栽培、ニジマスの養殖、製造業などにも利用され、固有の風土・文化を育むとともに、私たちの暮らしや産業を支えています。しかし近年、社会資本が整備され産業が発達し、便利で快適に暮らせるようになった一方で、産業構造や生活様式の変化などにより、地下水量の減少や水質の悪化が危惧されます。
世界では、地球温暖化の影響などによる水不足が深刻化し、特に世界人口の約20
パーセントを抱える隣国中国では、660都市の半分以上が水不足に苦しんでいるとも言われています。
こうした背景から日本では外国資本による森林や水源地等の買収が社会問題化し、平成23年4月には、森林法の一部が改正されました。
一方で、水資源を「国民共有の財産」と位置付けて、その保全や利用の理念を掲げる「水循環基本法」や「地下水の利用の規制に関する緊急措置法案」は、国会での上程が見送られ、今後、早急な調整・協議が望まれています。
市が平成23年7月に市民を対象に行った「地下水保全に関するアンケート調査」によると、上記グラフ2に示すとおり、地下水を保全する具体的な対策を望む声が高まっています。こうしたことから市では、地下水資源の強化・活用を目的に、条例制定に向けた調査・研究を行い、地下水利用団体、国・県の関係機関、学識経験者、庁内関係各課などで組織する地下水保全対策研究委員会を設置。2年間にわたる協議を経て、平成24
年8月に安曇野ルールを盛り込んだ「地下水資源強化・活用指針」が策定されました。これを受けて現在「地下水の保全・涵養及び適正利用に関する条例」の制定に向けて取り組んでいます。
時期を同じくして本年から取り組み始めた三郷地域の水道水源の転換により、私たちの飲料水のほとんどは地下水に依存することになります。生命の根源である地下水。普段、目に見えないこのかけがえのない共有財産を守り、育み、生かし、次代につなげていくことは、今を生きる私たちの責務であり、あらためてその大切さを再認識する必要があります。まずは、今の地下水を取り巻く課題を地下水利用者に伺います―。
※涵養…はぐくむこと

地下水の今を聞く

信州虹鱒養殖漁業協同組合 組合長 高原 正雄さん(明科・町区 70歳)

地下水を上げられなければ、安曇野のニジマス養殖は全滅してしまう
昭和15年ごろ、全国で初めて民間のニジマス養殖が安曇野で始まりました。高原正雄さんは、先代から養殖業を引き継ぎ、約50年にわたり市の名産であるニジマス養殖に携わってきました。最近は、長野県の新ブランド魚である信州サーモンを旅館やすし屋に出荷するほか、ニジマスの空揚げを学校給食やスーパーなどに卸しています。
高原さんは、自然環境の変化について「昭和40年ごろは、毎秒2トン以上あった湧水量が、今では約5分の1に減少した。ダムができたことなどにより川底が削られ低くなり、川の中で水が湧き出していることも要因の一つだと思う。その他にも農業用水路がコンクリートに整備されたことや水田の減反政策など行政が進めてきた政策の影響も大きいのでは…」と話します。

高原さんは、穂高・有明の養殖池で地下水をくみ上げニジマスの稚魚を養殖し、20から30グラムに育った時点で、明科の養殖池に移し、育て出荷しています。これは、稚魚を育てるには無菌の地下水が欠かせないためです。
有明で地下水をくみ上げることになったきっかけについて「昭和50年前後に外国からサケが輸入され、一般家庭を介してサケに付着していたウイルスが河川に流れ出て、ニジマスの稚魚がこれに感染し全滅してしまった。必死で稚魚を育てる環境を探した」と当時を振り返り、「もし、地下水を上げられないということになれば、安曇野のニジマス養殖業は全滅してしまう」とも言います。
地下水保全対策研究委員会の委員でもある高原さんは、地下水の涵養について「ニジマス業者は地下水を大量に使用するため、悪者扱いされがちだ。くみ上げた水は河川等に戻し、循環利用しているものの、恩恵を受けている者として、今後地下水の涵養に取り組まなければならない。地下水量を元に戻すには、みんなで課題を把握することが大切だと思う」と言います。また、安曇野ルールについて「地
下水をみんなの共有財産と位置付けるならば、地下水を保全するための規制や事業を推進するための費用負担などを含め、市だけでなく広域的に、松本平全
体で取り組むべき課題だ」と話してくれました。

信州山葵農業協同組合 副組合長 丸山 光弘さん(豊科・細萱65歳)

渇水の影響でワサビが1本も育てられず、栽培をあきらめかけた時期もあった
安曇野のワサビ栽培は、明治時代の終わりに梨畑の排水路を利用して始まりました。その後、鉄道が開通したことで販路が広がり、大きく発展しました。平成23
年の長野県のワサビ生産量を見ると990トンで全国1位。そのうち約9割が安曇野産で、市の平成23年のワサビの作付面積は32ヘクタールでした。
ワサビ栽培に携わり、約40年という丸山光弘さんは、1ヘクタールほどのワサビ田で、約1年半かけて育てたワサビを、主に地元の加工業者や東京方面に出荷しています。丸山さんはワサビ田にパイプを差して10年以上にわたり簡易的に毎月の地下水位を観測していますが「年間の水位はずっと減り続けてきたが、ここ2年間くらいは持ち直している。今年は降水が少なかったので3年前の最悪の水準に戻らなければいいが…」と懸念しています。近年の渇水の影響について丸山さんは「6年ほど前には、渇水の影響から約3分の1のワサビ田が栽培できなかった。栽培でき
ないワサビ田は草だらけになり、1日でダンプ5から10台分の草を処分したこともあった。除草剤も使えないためワサビは1本も育てられず、栽培をあきらめかけた時期もあった。しかし、祖父の代から受け継いだ家業を続けるために、寒さをしのげて安定的に栽培できるハウス栽培に露地栽培から切りかえ、何とか持ち直すことができた」と振り返ります。
地下水保全対策研究委員会の委員でもある丸山さんは、安曇野ルールについて「地下水の取水ルールは、しっかり規制ができる実効性のあるものにすべきだ。ハウスなどの設備投資もあり、経営は決して楽ではないが、湧水の恩恵を受けているものが、相応の費用負担をすることは、やむを得ないと思う」と言います。また、地下水利用について「確かに地下水をくみ上げる権利は、民法上では土地の
所有者にある。しかし、ワサビ栽培は、100年以上にわたり代々受け継がれてきた安曇野の地場産業であり、土地所有者は、地場産業が衰退してしまうような地下水のくみ上げは行わないように配慮すべきである。また、大量に地下水を利用する者は、積極的に地下水の涵養に取り組む責務があると思う」と話してくれました。

ゴールドパック株式会社(堀金・烏川) 取締役・品質保証部長 桜井克治さん

地下浸透させる仕組みに協力したい
ゴールドパック株式会社は、旧堀金村の工場誘致で平成3年から現在の場所で製造を始めました。原料の地下水の水量・水質が良いことが魅力で進出を決
めました。現在は、主に首都圏に向け、果実・野菜飲料、ミネラルウオーターなどを製造しています。出荷額は397億円(平成23年)で、工場では市内や近隣市町村から集まった従業員310人が働いています。工場には5本の井戸があり、1日約8000トンの地下水をくみ上げています。地下水は原材料に約1550トン。そのほか、洗浄水や冷却水などに使われています。安曇野工業会の一員として地下水保全対策研究委員会の指針作りに参加した同社取締役の桜井克治さんは「協力金については、皆さんが合意した一定のルールができた折には協力したい。特定の者が大きな負担とならないよう広く、薄く負担する概念で地下水を守っていきた
い。安曇野の地下水がなければ自分たちの経営も継続できない。地域の皆さんと協力しながら皆さんの力になれるところは力になりたい」と話します。
平成20年4月から同社では、工場内でくみ上げた地下水の一部を浸透ますに浸透させる実験をしています。桜井さんは今後の地下水の涵養について「現在、工場では、冷却水と浄化した洗浄水を近くの拾ケ堰へ放流している。今後、行政と協力し遊休農地や広い面積の休耕田等を使って、地下浸透させる仕組みができればと思う。地元の企業として地域に密着し事業展開を図っていきたい」と話してくれました。

株式会社あづみ野 副工場長 土屋 勝さん

株式会社あづみ野では平成19年から現在の場所でナチュラルミネラルウオーターの製造を始めました。主に首都圏に向けて、出荷し、年間2リットルのペットボトルに換算して約3000万本を製造。出荷額は9億円(平成23年)で、工場では市内や近隣市町村から集まった50人の従業員が働いています。
工場では1本の井戸で、地下約70から 90 メートルの深さから地下水をくみ上げ、熱処理せず、フィルターで除菌し、ペットボトルに詰めて出荷しています。1日の取水量は約400トン。地下水利用の内訳は製品に約270トン、残り約130トンはペットボトル洗浄や出荷ラインで使用し、再び地下に浸透させています。副工場長の土屋勝さんは「当初から余った水は地下に戻すことを前提に工場を稼働させている。
くみ上げた地下水をそのまま製品にしているので、地下に戻す水の水質には問題はない。定期的に水質検査も行っている」と話します。また、安曇野ルール(指針)について「私たちが作る製品は安曇野の地下水そのものなので、守るための届け出や報告、協力金は必要なことと考えている。安曇野の水を大切にしなければ、私たちの会社、製
品は成り立たない。市民の皆さんと一緒に守って行きたい」と話してくれました。

市民の声

井戸水の利用者 近藤眞奈美さん(穂高・島新田区)

届け出制を生かし、災害時の給水に活用することを提案します。
深さ15メートルからくみ上げた地下水を生活全般に利用し、庭木などにも使い、その良さを実感しています。地下水利用者を届出制にすることで井戸の場所が分かり災害時にも活用できると思います。安曇野は上水道も地下水が水源ですし、水を大切にしたいと思っています。

雨水タンクの利用者 山口香緒里さん(堀金・中堀区)

市の補助制度を使い、自宅に雨水タンクを設置しました。家庭菜園や庭の散水に使って
います。県外に住んでいた時は、水はとても貴重でした。安曇野は、水が豊富なため、住んでいる人がその大切さや価値を実感していないような気がします。畑などに水を使うことで少しでも地下水を守れたらうれしいです。

安曇野ルール・インタビュー

市では、地下水資源を強化し、活用するための条例の制定に向けて地下水利用者や学識経験者、国・県の関係機関などで構成する地下水保全対策研究委員会を設置。2 年間にわたる協議を経て、本年8 月に安曇野ルールを盛り込んだ地下水資源強化・活用指針が策定されました。
会長を務めた信州大学工学部教授の藤縄克之さんに「安曇野ルール」などについて伺います。

地下水保全対策研究委員会会長 信州大学工学部教授 藤縄 克之さん(松本市64 歳)

世界の水事情や国の法整備等の状況をお聞かせください

世界の水不足は深刻で、特に中国は水不足に加えて水質汚濁も問題となっています。水資源が多い日本は魅力的で外国資本に狙われたとしても不思議ではありません。しかし、国の取り組みは遅れていて、各自治体がしっかりした仕組みを作ることが必要です。今回の指針は全国でも例のない先進的な取り組みです。水がおいしいだけでなく、その水を守る取り組みが安曇野の価値、ブランド力を高めることにもなります。

市の地下水量の現状をお聞かせください。

市内の地下水位の測定記録から扇状地の末端部よりも扇状地上部にあたる扇頂部の水位低下が著しいことが分かります。安曇野市全域では昭和61年と平成19年を地下水位等高線で比べると年平均で600万トン相当分の地下水位が下がっています。松本盆地全体でも同様な状況です。例えばスポンジに水を含ませ、片方を上げると上の方は乾き、下の方の水はそれほど変化がないのを想像してもらうと分かりやすいでしょう。河
床低下が原因ではという意見もありますが、一概には言えません。私は一番の原因は、地下水の主な涵養源である水田作付面積の減少だと考えています。

指針に掲げる転作田湛水などの地下水涵養についてお聞きかせください。

まず、地下水涵養で重要となるのは、地下水収支を均衡させることです。転作田湛水は、7月から9月の水需要が比較的少ない時期に行うことができ、注目されている方法の一つで、水田として使われていない転作田などに水を張るものです。転作田に張った水は、蒸発する量より地下に浸透する量が圧倒的に多いことから、地下に浸透した水量を地下水涵養量として評価できます。転作田湛水で、どのくらいの水が地下に浸透するかを算出する場合、減水深を使います。これを算出し、どのくらいの地下水涵養ができたのか検証できるのです。また、転作田として例えば小麦を栽培している農地で収穫後、水を張ることで連作障害の原因となる微生物等が繁殖しないような環境づくりもできます。
学校給食でごはん食を一層推進地消や食の安全性の面から重要ですが、農家にとってもメリットがあり地下水涵養にもつながります。

地下水の涵養事業の推進に必要な資金を地下水利用者で負担していくことを掲げていますが、お聞かせください。

地下水利用者には、地下水を保全・強化するための責任があります。委員会では負担額について安曇野方式の計算式を指針に盛り込みました。具体的には(1) 特定の利用者に負担が偏らないで広く薄く負担してもらうこと(2) 使った量に応じて負担してもらうこと(3) 涵養すれば負担が減ること(オフセット方式)(4) 利用者の資金力に応じて負担してもらうこと(5) 地元の利用者の負担を少なくし産業に生かすことが決まりました。これで地下水を保全し、節約・節水ができる上、制度も長続きすると思います。

地下水は公水として、自信を持って条例づくりを進めてほしい
地下水を取水する場合の届け出、協議等についてお聞かせください。

安曇野ルールは(1) 地下水は市民共有の財産である(2) 全市民で保全と強化に努め健全な地下水環境を創出する(3) 強化した地下水は市内の産業に積極的に生かすを委員会で確認し米の消費を拡大することは、地産しました。これまでは民法に定める土地所有権を基に、地下水は私水とされてきました。しかし、今では国や地方でも地下水は公の水という認識になっています。地下水をくみ上げ、隣接地の地下水位に影響を及ぼすと、他者の財産権を侵害したと考えられます。
山梨県忍野村地下水訴訟では、販売目的で地下水を地権者が使うことはできないという判決がくだりました。条例が公共の福祉に合致していれば、条例が民法の規定に抵触しないことがありえます。地下水は公水であることが認知される時代になりました。自信をもって地下水保全の条例づくりを進めてほしいと思います。

最後に自治体間の広域的な取り組みとルール作りに携わってみての感想をお聞かせください。

地下水に自治体間の境界はありません。各自治体はそれぞれ隣接自治体の水環境にも配慮し、紳士的にルールを定めるべきです。

委員会では、途中議論が白熱し紛糾する場面もありましたが、白紙から委員の皆さんが本音で議論したからこそ、指針(安曇野ルール)をまとめることができたと思います。

農業で地下水を育む 麦後転作田湛水

農業技術面等から農作物の連作障害防止のほか、地下水の涵養にも効果が期待される新たな取り組みを紹介します。

地下水涵養の取り組みの中で実現性が高く、有力だとされているのが、麦の刈り取り後に転作田に水を張る「麦後転作田湛水」です。地下水保全対策研究委員会が策定した地下水資源対策・強化指針では、地下水の強化を図るため、新たに年間600万トンの地下水を涵養することを目標に掲げています。そこで注目したのが、各種作物の中でも、
718ヘクタールと最も作付面積が多い麦の転作田です。(表1参照)。
行政、JAなどで構成する市農業再生協議会では、本年7月、農業経営者の皆さんの協力を得て、市内5カ所の麦の転作田、約1ヘクタールで調査をしてきました。
この調査は、6月の小麦の収穫後、転作田に畦塗りと代かきをし、7月から8月の約2カ月、水を張り、1日ごとの水の減少量(減水深)を測定しました。また、10月下旬には麦
の種をまき、本年と来年の収穫量を比較して、連作障害を緩和する効果や草の抑制効果・減水深なども検証する予定です。
特に連作障害は、小麦を何年も同じほ場で作付けすることによって、土壌中の養分の偏り、不要な物質の蓄積を生み、作物の生育が阻害されるもので、収穫量低下の大きな要因となっています。そこで、麦の収穫後の転作田を代かきすることで、養分を均一にし、水を張ることで連作障害の原因となる微生物等が繁殖しないような環境づくりができるのです。こうした湛水を行うため、水稲は連作障害の影響を受けません。
このように農業面でのメリットや地下水涵養への効果が期待される麦後転作田湛水ですが、畔塗り等に手間が掛かることや、周辺の水田に水を張る妨げにならないよう、転作田に水を張らなければならないことなど、さまざまな課題があります。
市では、この転作田湛水の試験結果を検証し、農業に及ぼす効果などを見極め、関係機関などとの連携をとりながら事業推進を図っていく予定です。

麦後転作田 湛水試験農家の声
有限会社細田農産役員 細田 直稔さん(三郷明盛・33歳)

来年7月の麦収穫量に注目しています
試験ほ場は、10 年連作しているために7月の収穫量は226 キログラムと相当少なく、
来年7 月の収穫量には湛水の効果が出るのではと注目しています。
安曇野は県下有数の田園地帯であり、おいしい米がとれることをもっと宣伝して、ブランド力を高めるべきだと思います。
ワサビ栽培や信州サーモンの養殖には、地下水が必要で地下水を育むのは水田でも
あることから、みんなつながっています。安曇野の田園風景を守りながら、地下水も
守れたらいいと思います。

農業法人宮澤ファーム代表理事 宮澤 貞仁さん(三郷・明盛57歳)

地域に根差し、環境にやさしい農業に取り組みます
以前から麦後湛水に取り組んでいましたが、収穫量は平均より多く効果はあると思います。他の農家に迷惑が掛らないように転作田に水を入れなければいけないことや、草や害虫などの対策も課題だと思います。
農薬を減らしたり、化学肥料を減らしたりして、環境にやさしい農業に取り組んでいますが、改めて食を扱うということは、難しく大変な仕事だと思っています。地域に根ざし、自分たちだけ良ければいいということではなく、耕作できない人のバックアップをしながら、荒れ地を増やさないよう、これからの農業を見据えていきたいです。

条例制定(取水ルールを作る)

市では「地下水資源強化・活用指針」をもとに「安曇野市地下水の保全・涵養及び適正利用に関する条例(仮称)素案」(以下条例案)を策定しました。
新たなルール作りに向けて、市民の皆さんの意見をお寄せください。

取水ルールを先行し条例化へ

この条例案は、地下水を市民共有の財産として、地下水利用者(井戸等)の利用状況の届け出および年間利用量の報告の義務化、新規取水者の事前届け出制および一定量を取水する場合の事前協議の導入などの取水ルールを定めるものです。具体的には左ページのフローに示したとおり、地下水を利用するすべての皆さんが届け出することとしています。
さらに規定量以上(1日100トン以上、または取水口の断面積が12平方センチメートル以上)の地下水を新規に取水する場合は、周辺への影響などの事前協議や地元説明会を開くこととしました。なお、規定量以上をすでに取水している場合は、節水・涵養計画を作成し、届け出ることとしています。また、1日10トン以上の地下水を取水する場合は、取水量を毎年報告することとしています。なお、転作田湛水など地下水の涵養事業の費用を地下水利用者が一定の負担をする仕組み作り(協力金制度の導入等)は、現在行われている麦後転作田湛水などの試験事業の効果検証を踏まえた上で、今後、農家や土地改良区などの協力を得ながら検討していく予定です。

地下水を育はぐくみ、生かし、将来へ引き継ぐため市民の皆さんと話し合いながら取り組みます -宮澤市長-

宮澤市長は11月に行われた「市長と語る会」のあいさつで「3・11東日本大震災以降、水の大切さが見直されています。被災地では初めに水が必要とされ、1日たりとも欠かせないものです。市は地下水をどのように守り活用したら良いのか検討を進めてきました。今後、企業など地下水利用者の皆さんに地下水保全のための協力を求めていくことも検討しなければなりません。共通認識として、どのように地下水を育み、将来に引き継いでいくのか、そして地域産業に生かしていくのか、市民の皆さんと話し合いながら田園産業都市の実現に向けて取り組みたい」と呼び掛けました。

市民の皆さんの意見をお寄せください

 市では条例案に対する市民の皆さんからの意見を、1月8日まで募集しています。お寄せいただいた意見を条例案に反映し修正を加え、条例制定に向けて取り組みます。任意の用紙に意見、提言事項を記載し、郵送か持参、ファクス、電子メールのいずれかの方法で提出してください。詳しくは、12月5日発行の広報あづみのお知らせ版の15
ページをご覧ください。

  • 応募先 〒399‐8303安曇野市穂高6658穂高総合支所内生活環境課または各総合支所地域支援課 メールkankyou@city.azumino.nagano.jp
  • 問い合わせ先 生活環境課環境保全係 (82-3131代表 82-6622)

子どもたちからの伝言[ 穂高南小学校4年1組]

穂高南小学校4年1組の子どもたちが、授業で地下水について学習しました。地下水が減少していることを知った子どもたちが、安曇野の水を守るために考えたこととは…

学習をとおして自分たちにできることを考えました

「地下水が減って困っている人たちがいる」、「地下水について多くの人に知ってもらいたい」―穂高南小4年1組(担任 小泉一磨先生)の子どもたちが、10月6日、堀金総合体育館で行われた安曇野環境フェアで、地下水について学習発表をしました。

1学期の社会科の授業で普段飲んでいる水が地下から来ていることを知り興味を持った子どもたち。水道以外にも地下水がどんなことに使われているのかグループごと、自転車や家族の送迎などによりワサビ田、ニジマスの養殖場などへ調べに向かいました。現地で実際に自分の目や耳で調べてみると、市の名物のワサビやニジマスが、みんな湧

わき水を利用し育てられていることが分かりました。地下水はみんなの暮らしや安曇野の名産を支える大切なものだということに気づいたのです。しかし、ある子どものおじいちゃんのワサビ田にみんなで行って話を聞いたとき、地下からの湧水が年々減少していることを知りました。

「地下水が減ったらどうなっちゃうの?」子どもたちは、話し合いました。ワサビやニジマ

スはきれいな冷たい水でなくては育てることができない、そうするとワサビ農家やニジマス養殖業者が困ってしまう。また、安曇野の名物であるワサビやニジマスがなくなったら観光客だって来なくなってしまうかもしれない。自分たちの飲み水さえも…。

そこで、なぜ地下水が減少しているのか、市役所の担当者から聞きました。主な原因は、水田が減少していることと、道路が増え、水が染み込むところが減少したこと等々。染み込む量は減少しているのに使う量は変わらないので、地下水が減少してしまうのだと知りました。

これを知った子どもたちは、自分たちに何かできることがないかを考え、地下水を減らさないために、さまざまな活動をしました。例えば普段は使った後、ただ流していた水をクラスの畑に穴をあけて地下に返すこと。

また、雨どいの下にバケツやペットボトルをみんなで協力して置き、雨水を貯めて野菜を洗ったり、水やりをしたりするのに利用しました。他にも家でできる細かな節水も地下水の保全につながることが分かり、自分たちにできることをたくさん発見した子どもたち。

発表の終わりに、「一人ひとりにできることは小さいと思います。でもそれをみんなで心掛ければ、地下水を守ることができるかもしれません。皆さんも一緒に地下水について考えてみませんか」と呼び掛けました。

エピローグ 育み、分かち合いながら生かす時代

途切れることなく続いてきた時間、約400年―。絶え間なく流れ、安曇野の大地を潤し、人々の生活を支えてきた拾ケ堰。ときに人々は生死を掛け水を争い、水害に見舞われながらも水を敬い暮らしてきました。農民の知恵とたゆまぬ努力により数々の堰が開削されたことで、各集落に水が導かれ、安曇野の荒野は肥よくな大地へと変ぼうしました。この全国に誇れる先人の偉業は、単に田へ水を引くのみならず、水は地表から地下に深く浸み込み、磨かれ、結果として地下水の涵養につながり、飲み水のほかワサビ栽培、ニジマスの養殖など先人が予想しえなかった多大な恵みを私たちに、もたらしたのです。今回の取材を通して、日々水と向き合いながらひたむきに暮らす水先人ともいうべ
き人々からは、さまざまな提言や声を伺うことができました。ニジマス養殖の水先人からは、地下水を共有財産として松本平全体での広域的な取り組みを望む声、またワサビ栽培の水先人からは実効性のある取水ルールを求める声、井戸を生活水とする水先人からは、取水ルールを生かし防災時に井戸を活用すべきとの提言、米作りの水先人からは、安曇野の田園風景を守りながら地下水を守る決意の声等々…。
穂高南小学校4年1組の子どもたちは、「一人ひとりにできることは小さいと思います。でも、それをみんなで心掛ければ地下水を守ることができるかもしれない。皆さんも一緒に地下水について考えてみませんか」と呼び掛けています。私たちは、このメッセージに応えていかなければなりません。
地下水を守り、育み、生かすための安曇野ルール。今、地下水の取水ルールを定める条例案が策定され、新たなルール作りが始まろうとしています。転作田など農地を利用した地下水涵養などの新たな取り組みや、地下水利用者が地下水涵養事業の費用を一定のルールのもと負担し賄う仕組みづくりを実現するには多くの課題があります。しかしながら、先人たちが、知恵を出し合いながら協力して堰の開削という大偉業を成し遂げたように、地下水保全のための新たな仕組みづくりも、みんなで知恵を出し合い、地域ぐるみで取り組むことで成し遂げられるかもしれません。
安曇野市が誕生し、これまで各町村の境だった河川などを私たちは共有し、まちづくりに生かしてきました。今、地下水をかけがえのない共有財産として、守り、育み、分かち合いながら、産業や地域づくりに生かしていく新たな時代が訪れています。

市政トピックス・安曇野日和

市政トピックス

  • 平和への願いを若い世代へ 「平和のつどい」を開催
  • 人権のつどい 市民大学特別講座
  • 市長と語る会に537人が参加

土地利用 全市同じルールになりました。
12 月20 日、豊科地域の「線引き制度」が廃止

安曇野日和

  • 歌い継がれて来年で100年 11月23日 早春賦誕生100 年記念プレシンポジウム
  • 牧大根、大人気!3万本が完売 11月18日 第3 回牧大根まつり
  • 晩秋に響く お囃はやし子の音色 11月10日 安曇野のお祭り展 お囃子演奏会
  • 伝統の大会 90人が力走 11月4日 第8 回安曇野市堀金一周駅伝大会 
  • ふるさとCM大賞で入賞 12月2日 ふるさとCM 大賞NAGANO
  • コミュニティーFM放送局が開局 11月24日 あづみ野エフエム放送開局

写真で振り返る 2012 年

  • 1月 新本庁舎の基本的な考えを示した基本設計が1月にまとまり、3 月にはダイジェ スト版が各家庭に配られました。
  • 2 月 穂高地域の5 つの小中学校に3,500 食の給食を提供する、北部学校給食センターが2 月20日に完成しました。これにより市の学校給食施設整備が完了しました。
  • 3 月 22 日から 29 日、姉妹都市のオーストリア・クラムザッハ町へ、市内の青少年による公式訪問団15 人が初めて訪問。滞在中、現地の若者たちと友好を深めました。
  • 4 月 1日、市観光協会の一般社団法人化に伴い、穂高駅前に市観光情報センターが新たにオープンしました。5 月の連休中には多くの観光客でにぎわいました。
  • 5 月 専門の職員が子どもの発達に関する相談や成長に合わせた支援を行う相談室を、堀金総合福祉センター内に設置しました。
  • 6 月 27 日、松本地域を拠点とするJリーグ2 部松本山雅フットボールクラブへ、市が資本参加を申し込みました。同チームのホームタウンとして協力しながらスポーツ振興、地域振興を目指します。
  • 7 月 三郷文化公園で開催された、松本消防協会ポンプ操法・ラッパ吹奏大会で、市消防団第11 分団第2部(穂高有明)がポンプ車操法の部で優勝し、県大会へ出場しま4 月、9 月 名誉市民・田淵行男さんの新たに発見された昆虫細密画が4 月20日に、ノーベル賞作家・川端康成らが安曇野を訪れた際に記した書画が9 月27 日に、それぞれ市に寄贈されました。
  • 9 月 ロンドン2012 パラリンピック大会に樋口政幸選手(豊科)が、車イスの陸上競技とマラソンに出場しました。次回のリオ大会では日本人初のトラック競技決勝進出を目指します。
  • 10月 7 日、長野自動車道豊科インターチェンジを安曇野インターチェンジに名称変更しました。当日は記念イベントなどで祝いました。名称変更により、安曇野の知名度向上と、地域発展、観光振興が期待されます。
  • 12月 総合支所と公民館の機能を備えた明科複合施設が、講堂部分を残し11 月末に完成しました。12 月25 日から新しい明科地域のまちづくりの拠点として使用開始しました。
  • 12月 20 日、豊科地域が対象となっていた「線引き制度」が廃止され、市の土地利用のルールが統一されました。10月から始まった屋外広告物条例などともに都市計画の基本ルールが整いました。

裏表紙

ためして安曇野検定 クイズ No4

次回発行…お知らせ版1月9日(水曜日)

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