ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 安曇野水物語 > ワサビ田開拓

ワサビ田開拓

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年3月1日更新

いま世界に広がるワサビの魅力
雑菌を抑えるスゴ腕
信州・安曇野は日本一の産地

 

世界にツからンと広がる日本のワサビ

優れた効能が再発見されているワサビ
優れた効能が再発見されているワサビ

 ツからンと鼻に抜ける辛さが、持ち味のワサビ。
 実はワサビの植物学上の名前は、ワサビア・ジャポニカ(Wasabia・japonica)といい、ジャポニカの名前がつくことでわかるように、日本原産の植物です。
 そしてわさびは今、寿司や刺身などに欠かせない香辛料として、世界中にその存在を広めています。健康長寿を誇る日本の食文化と一緒に、健康的な食材の1つとして海外でも注目を集めているのです。雑菌が増えるのを抑える強い力を持ち、美肌などの若返り効果もあると言われています。また抗がん作用の研究の面からも注目されています。
 平成16年の生産量では、都道府県別で長野県がダントツ1位(2位は静岡県)。そして長野県全体では、90%以上が安曇野産なのです。
 それは、安曇野がワサビの好む冷涼な気候と、1年を通して13度前後という清らかな水に恵まれているからなのです。

あづみ野わさび田湧水群を生み出す安曇野の地形

常念岳
常念岳

 3,000m前後の北アルプス山麓に広がる安曇野は、いくつもの扇の形の扇状地が重なって並ぶ、全国でも珍しい複合扇状地の地形をしています。
 そのため山から下ってきた川の水は、扇状地を流れるうちに一度地下に浸透します。そして扇状地が終わる扇端の部分、安曇野で低い場所に集まって、湧き出てくるのです。ここにワサビ田が開拓されています。
 この地下をくぐり抜けてきた湧水は、外気温に左右されることなく、1年中水温が13度前後。そのためワサビ田で働く人たちは、外気がマイナスになる冬でも意外に軽装だということに気づくでしょう。体を動かして働いているためにホカホカと温まることはもちろんですが、ワサビ田に浸かっている足元は、13度もあるのですから。
 そしてこの、独特の地形と湧水の自然を利用したからこそ、安曇野は日本一のワサビの収穫量を誇っているのです。
 それではいったい、いつごろから安曇野でワサビ栽培が始まったのでしょう。

大正時代の中ごろにナシ畑からワサビ栽培へ

ワサビの花
ワサビの花

 明治の初めから大正時代の中ごろまで、豊科地区南穂高の重柳(しげやなぎ)から穂高地区から北穂高にかけての一帯は、ナシの栽培地でした。
 ところが湧き水によるナシの病害が多く、水はけを良くするために作った水路で、ワサビ栽培が始まったと言われています。
 明治20年代にはわさびの粕漬けを、犀川の船で新潟方面へ販売を始めました。また、明治35年に篠ノ井線が開通して東京に出荷され、高い値段で売れたことから、ナシ畑はワサビ田へとかわっていったのです。そして大正12年の関東大震災と台風の際に、それまで主要産地だった伊豆や静岡のワサビが大打撃を受け、信州産のワサビが脚光を浴びることになったのです。
 昭和15年ごろ、犀川にダムができるまでは、ワサビの排水路まで、はるか遠くの日本海から鮭が遡上(そじょう)することもあり、捕まえて薫製にし、お正月のごちそうにしたこともあったそうです。

ワサビ田開墾風景(明治42年ごろ)
ワサビ田開墾風景(明治42年ごろ)

日本で一番大きなワサビ田は東京ドーム10個分以上

大王ワサビ農場
大王ワサビ農場

 ワサビは農産物ですが、安曇野の美しいワサビ田を観光客に紹介している場所があります。穂高地域御法田(ごほうでん)にある大王わさび農場です。
 ここは約15ヘクタール、東京ドーム10個分余りの広さを持つ個人のワサビ田です。創業者の深沢勇一は、土地も資金もほとんどない状態からワサビ田の開田に着手しました。
 大正4年から工事に取り組み、農閑期に地元の農民1日平均200人を雇い、20年の歳月をかけて地面を掘り下げ、土砂を周りに積み上げて、最初のワサビ田を完成させたのです。
 まだゴム製の長靴もショベルカーもない時代です。人々は厳寒期でもわら靴やぞうり履き姿で水に入り、鍬(くわ)などで地面を掘って、「ぱいすけ」と呼ばれるザルのような簡単な道具で担ぎ上げたり、トロッコを手で押し上げたりして土砂を上まで運びあげました。

今また見直される水の尊さとワサビの魅力

安曇野を象徴するワサビ田の風景は、その特異な地形と自然環境、先人の開拓精神から生まれました。そして今、安曇野を訪れる多くの人々が立ち寄る場所になっています。
よどみなく流れ続ける湧き水の中に、描きだされる幾何学的な模様。そしてそのワサビ田と湧き水の風景や、くっきりと移り変わる四季の風景にいやされ、魅せられてまた人は訪れるのです。
目に美しく、食べてヘルシーなワサビ。肉や魚のようにメインディッシュ(主役)にはなれないけれど、刺身や寿司にはなくてはならない“名脇役”ですね。

参考


Adobe Reader<外部リンク>

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)