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収蔵作品紹介(晩秋)

記事ID:0001960 更新日:2015年10月29日更新 印刷ページ表示

収蔵作品詳細
晩秋【晩秋】

種類:墨彩画
制作年:1990年
サイズ:155×230mm

故郷の山を愛し、瞼に焼きつくその姿を墨彩画に描きつづける高橋節郎であるが、山を描くのにもいくつかの画風の違いを見せている。
この作品では、近景の山が絵具と墨の荒々しい筆勢で表わされ、また遠景の2つの山は薄くぼかしたように表わされ、全体的ににじみの効果を利用した表現が見られる。
「明ける」「雪景」などの作風と比較すると、素朴で温かい印象を抱かせる作品である。手前の紅葉を残す低めの山は、人が分け入りその恵みを受け、日の暮れるまで子どもたちが遊ぶ山、人々の生活とともにある身近な山であろう。山に対する親しみの情が、素朴な作風に表れている。
一方奥の雪を頂く山は、人が容易には近づけない山である。しかし険しい山の印象は、前方の里山に隠れる形で薄くなっており、全体としてはやはり温かいイメージにまとめられている。
温かさと厳しさ、身近と畏敬、信州の山の2つのタイプ、2つの側面を、高橋節郎の墨彩画のいくつかを通して鑑賞することで、安曇野の住人と同じように感じ取っていただけたらと思う。