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皆さま、おはようございます。
本定例会の開会にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
本日、平成29年安曇野市議会9月定例会を招集させていただきましたところ、議員各位におかれましては、お忙しい中ご出席を賜り、厚くお礼を申し上げます。
はじめに、去る7月15日、10月15日投票の市長選挙への出馬を正式に表明いたしました。
これまでの2期8年の任期中は、合併前の5町村の流れを一つの大河にするとの決意を胸に、「日本一の安曇野」を目指して、公約の実現に向けて邁進してまいりました。
お陰様で、議員各位や市民の皆さまのご理解とご協力に支えられ、公約に掲げた事業の多くを実現することが出来ました。
この場をお借りして改めて感謝を申し上げます。
しかし、1期目の任期中に掲げた喫緊の四つの課題の内、「市役所本庁舎の建設」「豊科地域の線引き制度を廃止し、条例による全市統一の土地利用制度の導入」「三郷トマト栽培施設・安曇野菜園問題の解決」は、実現することができましたが、「穂高広域施設組合の一般廃棄物最終処分場の建設」については、残念ながら実現には至りませんでした。
一般廃棄物最終処分場の建設については、県市長会をはじめ、機会あるごとに県が主体的に関わっていただきたいとお願いしてまいりましたが、残念ながら、一般廃棄物の処理は排出地域の市町村の責務であるとの回答しか得られませんでした。
いずれにしましても、現時点では、計画予定地の皆さまのご理解を得られる見通しが立たないことから、穂高広域施設組合構成市町村の区域内での建設の可能性を模索してまいりたいと考えております。
また、穂高広域施設組合の新ゴミ焼却施設の建設や新総合体育館の建設といった大型プロジェクトについては、ようやく先が見えてきたところです。
今後、我が国は人口減少や超少子高齢化の進展により、特に、生産年齢人口の減少による働き手不足が深刻化するなど、かつて誰も経験したことがない社会を迎えることとなります。
こうした難しい、困難な時だからこそ、次の世代にきちんとバトンタッチをするため、これまでの市政運営の中で培ってきた経験を活かし、2期8年間の市政運営の総仕上げとして、「3期目には引続いて、安曇野の豊かな自然を守り、安全・安心な地域づくり、あらゆる産業の振興、子育て支援、医療・福祉の充実、教育の振興など、これら施策が共に響き合う田園産業都市の創造を目指し、中でも、健康長寿のまちづくりを高所に掲げ、ハードからソフトへ『日本一』の安曇野を目標に、旧5町村がより確かな大河の流れとなるよう、全力で取り組む覚悟を持って」3期目に向けて出馬する意思を固めました。
さて、九州北部では先月の5日から6日朝にかけて、記録的な豪雨に見舞われ、河川の氾濫や土砂崩落などにより甚大な被害が発生しました。
被災された皆さまに心からお見舞いを申し上げますと共に、犠牲となられた多くの皆さまのご冥福をお祈り申し上げ、加えて、被災地の1日も早い復旧・復興を願うものであります。
本市では7月12日水曜日から、市庁舎及び4支所に義援金受付箱を設置し、被災された皆さまを支援するための義援金の受付を今月31日まで行っております。
また、本市においても、過日の台風5号の接近に際しては、避難情報の発令も視野に入れ、8月7日の午後5時、市民の皆さまの安全を確保する措置として、4支所及び豊科公民館に一時避難場所を開設しました。
幸いにも、台風による特段の被害は確認されませんでしたが、今後も市民の皆さまの安全確保に向けて、迅速な対応を図ってまいります。
それにしましても、今年の夏は大雨や洪水警報が幾度となく発表され、一時的に夏らしい暑い日が続いたと思えば、戻り梅雨を思わせる空模様が続くなど、非常に不安定な天候の夏でした。
こうした中、「あづみ野祭り」や「信州安曇野わさび祭り」「YOSAKOI安曇野」「ふるさと夏祭り」そして「安曇野花火」など、本市の夏の風物詩であります恒例のイベントが、各地域で盛大に開催されました。
中には突然の雷雨により途中で中止となったイベントもございましたが、多くの皆さまのご参加、ご来場により夏の楽しいひとときを過ごすことが出来ました。
これも一重に、実行委員会をはじめとする関係各位のご尽力の賜物と感謝申し上げます。
その他、先月の28日金曜日には拾ヶ堰の世界かんがい施設遺産への登録を記念する記念式典と記念講演会が堀金総合体育館で開催され、当日は、記念式典に先立ち、拾ヶ堰土地改良区による記念碑の除幕式も行われました。
記念式典には、国や県及び近隣市村の関係者の皆さま、並びに除幕式からご出席をいただいた議員各位など約200人の皆さまのご臨席を賜る中、豊科南小学校6年生の代表者による、今後も、クリーン大作戦として拾ヶ堰の清掃を続けていくとの決意などが込められた「記念式典宣言書」の発表などが行われ、盛会の内に幕を閉じることができました。
「安曇野の大地と人々の心に潤いをもたらし続ける拾ケ堰」と題した記念講演では、約450人の市民の皆さまが豊科郷土博物館の百瀬館長のお話に聞き入っておられました。
市では今回の世界かんがい施設遺産の登録を契機に、庁内に拾ヶ堰整備庁内検討会を設置し、拾ヶ堰を活用した地域振興のあり方などの検討を開始しました。
また、7月27日木曜日、28日金曜日の2日間にわたり、「より良いラウンドアバウトの導入に向けて」をテーマに、「ラウンドアバウトサミットin安曇野」を豊科公民館ホールで開催し、北海道から沖縄まで日本各地から356名の皆さまにご参加いただきました。
ラウンドアバウトは、平成26年9月1日の改正道路交通法の施行以降、本年5月末時点で、22都道府県67箇所で運用され、交通事故の減少や、災害時の有効性などが認められ、多くの自治体で導入が検討されています。
市では、今後も市の取り組みを紹介させていただくと共に、ラウンドアバウト、いわゆる環状交差点の効果をPRして参りたいと考えております。
さて、安曇野市三郷でお生まれになった、生物研究者の千國安之輔先生をご存じの皆さまも多いと思います。先生は昆虫やクモの研究でその名を全国に知られ、平成元年には、20年の歳月をかけて集録された『写真・日本クモ類大図鑑』を出版されるなど、日本のクモ学の発展に多大な貢献をなされ、平成17年3月10日、94歳でお亡くなりになられました。
この度、千國先生の娘さんであられる故千國峰子様の「クモ・虫の世界を愛することに関連する取り組みに活用して欲しい」とのご遺志により、市に5,340万円余のご寄附をいただきました。
千國先生のご遺族の願いを市の施策に活かすべく、「ちくに生きものみらい基金」を創設し、安曇野固有の動植物が残る環境に光をあてると共に、環境教育の普及を図り、安曇野の豊かな自然環境を後世に引き継ぐために役立たせていただきます。
なお、関連する条例案、並びに補正予算案を本定例会に上程しております。
次に、総合戦略に係わる事業や公約に掲げました5つの柱に沿って、主な事業の進捗状況等について、若干述べさせていただきます。
はじめに、一つ目の「活力あふれるまちづくり」についてであります。
恒例の玉ねぎまつりが6月10日土曜日と11日日曜日の2日間、豊科、堀金、三郷地域の17会場で開催され、各会場には掘り取り体験や直売を求め、約4,200人の皆さまが来場されました。
特に今年は、玉ねぎまつり開催20周年を記念する節目の年であったことから、記念セレモニーが豊科保健センター駐車場において盛大に執り行なわれました。
また、玉ねぎの生産を拡大するため、JAあづみが「産地パワーアップ事業」を活用して整備した「玉ねぎ共同乾燥調製施設」が、本年6月から本格稼働しました。
この施設を利用することにより、従来は天日干しに2週間以上かかっていた乾燥作業が2日に短縮されると共に、1日に約20tの出荷が可能になるなど、生産者の負担軽減と生産性の向上が図れました。
今後も苗の植え付けから収穫までの機械化一貫体系の普及を一層推進し、安曇野産玉ねぎの栽培面積の拡大とブランド化を進めることで、農家所得の向上に結びつけてまいります。
次に、6月議会の最終日、追加議案として補正予算の議決をいただきましたあづみ野産業団地の未処分区画の販売につきましては、先月の28日、購入企業と売買契約を締結しました。
今後はできるだけ早く操業していただき、産業振興や雇用促進に繋げていただくことを期待しております。
今回の売買により、市が保有する産業団地内の全ての分譲区画が完売したことから、今まで以上に民間の空き工場や空き用地、民間不動産情報などを活用して、操業を希望される皆さまへの情報提供に努めてまいります。
また、この6月2日、企業立地促進法の一部改正に伴い、地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律、いわゆる「地域未来投資促進法」が公布されたことから、事業実施に必要な「基本計画」の策定を早急に進めると共に、事業拡大を考えている企業等への説明を行うなど、切れ目のない産業振興に向けて取り組んでまいります。
続きまして、二つ目の「健康長寿のまちづくり」であります。
今年度新規事業として始めました入浴料金割引券交付事業につきましては、8月3日現在、対象者20,927人の約6割にあたる12,458人の方から申請をいただき、割引券を交付させていただきました。
7月31日現在、約23,000枚をご利用いただいておりますが、その内の約13%が民間の入浴施設で利用されるなど、今回の入浴料金割引券交付事業は高齢者の皆さまの健康増進のみならず、市内入浴施設の利用促進にも繋がっております。
次に、専門職員が直接相談に応じることで、妊娠や子育ての不安や悩みを払拭し、妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援を行うため、本年4月に開設した「母子・子育て相談窓口」には、7月末までの4か月間で528件の相談が寄せられました。
今後は、出産後の育児不安の軽減や心身のケアのために、この10月から新たに取り組む予定の「産後ケア事業」と併せまして、特に周産期の負担軽減や支援の充実に努めてまいります。
次に、医療費の増加抑制に向けた取り組みについてです。
平成28年度の特定健診受診率は速報値ではありますが、47%と前年度と比較して4.6ポイント上昇し、医療費については約1億3,540万円の減額となりました。
これも、マスメディアを活用した受診勧奨、未受診者への個別勧奨、健康イベントの開催などにより、被保険者である市民の皆さまの健康意識が高まった結果だと推察しております。
平成29年度も引き続き特定健診の未受診者対策に努めながら、国保財政の安定的な運営に意を注いでまいります。
三つ目の「豊かな人を育むまちづくり」につきましては、情報化社会が一層進展する中で、情報活用能力の向上を図ると共に、生徒の学習意欲や思考力、判断力を高め、効率的かつ創造的な授業を実施することを目的に、この夏休み期間を利用して、市内全中学校に電子黒板126台の設置を進めております。
今後は指導される先生方への研修会等を行いながら、積極的な活用を図ってまいります。
また、この8月5日土曜日と6日日曜日の両日にかけて、6回目となる市内中学生の代表による広島平和記念式典参加事業を行いました。
今年はできるだけ多くの生徒に平和について考えていただきたいとの思いから、参加者を7人増やし28人を派遣しました。
過去に起きた戦争の悲惨さを目の当たりにする機会を通して、平和について学び、考えることで、平和の大切さを再認識することができたものと確信しております。
関連ですが、11月18日の土曜日には、広島平和記念式典へ参加をした中学生の作文の発表を含め、第7回安曇野市平和の集いの開催を豊科公民館で予定しております。
平和の大切さを改めて見つめ直す良い機会ですので、ご家族ご友人連れだってのご参加をお待ちしております。
また、私自身も、8月9日に長崎市で開催されました「第9回平和首長会議総会」へ出席してまいりました。
長崎市長の「長崎平和宣言」をお聞きし、改めて、「核兵器のない世界の実現」の必要性を痛感いたしました。
次に、第27回信州安曇野能楽鑑賞会についてであります。
例年薪能を開催してきました明科地域の龍門渕公園が、明科南認定こども園建設工事に伴い使用できないため、昨年に引き続き、8月19日土曜日に豊科公民館ホールにおいて、平家物語をテーマにした公演を開催しました。
ご来場された多くの市民の皆さまは、舞台の上で繰り広げられる幻想的で幽玄な世界を満喫しておられました。
四つ目は「環境を守り、安全・安心なまちづくり」であります。
緊急告知機能付き防災ラジオの運用を、この8月1日から開始いたしました。防災ラジオは、同報系防災行政無線からの緊急情報をあづみ野エフエム放送に割り込ませ、緊急放送として最大音量でお伝えするものです。
8月17日時点の設置状況は2,261台となっておりますが、この機会に、その他の防災用品ともども市の補助金制度を活用してご購入いただき、各ご家庭で災害に対する備えをお願いします。
また、9月3日日曜日には、明科地域の龍門渕公園運動広場において、市総合防災訓練を実施いたします。
当日は、子供用防火服試着による放水体験や煙道体験などの体験コーナーの設置に加え、訓練の状況を見学することもできますので、多くの市民の皆さまのお出掛けをお持ちしております。
五つ目は「協働によるまちづくりと行政サービスの向上」についてであります。
まず、長峰荘や穂高プールのように本市の公共施設は合併前に整備された施設が多く、その多くが近い将来、大量更新の時期を迎えることとなります。
しかし、市の試算では、全ての施設を現行のまま維持することは財政的にも困難であることが明白となり、平成27年2月に「安曇野市公共施設再配置計画基本方針」を定めました。
公共施設の取扱について、総量圧縮が必要なことは市民の皆さまにもご理解いただけるものと思いますが、施設の縮減にあたっては、利用される市民の皆さまの協力が欠かせないことから、今後も合意形成に向けた対話を重ねながら、方向性を見い出してまいります。
次に、新総合体育館建設事業の基本設計業者の選定につきましては、6月21日に新総合体育館建設基本設計者審査検討委員会による第一次審査を行い、7月31日には公開でプレゼンテーション及びヒアリングを実施し、最優秀者として「大建・エーアンドエー安曇野市新総合体育館建設設計共同企業体」を特定いたしました。
今後は、本年度中に基本設計を完了し、平成32年度までの新総合体育館建設工事の完了に向け取り組んでまいります。
それから、穂高広域施設組合の新ゴミ焼却施設の建設については、昨日、DBO方式による技術提案書の提出を締め切り、2社の技術提案書を受理しました。今後は、提案書の内容を精査し、10月上旬頃には、建設工事を施工する業者を決定します。
また、昨今の少子化や核家族化を反映してか、承継者がいないため墓地管理が困難といった相談が多く寄せられたことから、ご要望にお応えする形で穂高墓地公園合葬式墳墓を建設することとしました。
合葬式墳墓は八角形の平屋建てで、延べ床面積は22.17平方メートル、建設工事につきましては、6月5日に起工式を挙行しました。
本年10月末の竣工後は、11月から12月までの間で施設見学会を開催し、来年1月から申し込みと埋蔵を開始する予定です。
また、合葬式墳墓の整備に伴い、その管理及び運用について必要事項を定めた市霊園条例、並びに霊園施設整備基金条例の一部改正を本定例会に上程しております。
次に、昨年度着手した水道事業の三郷・上長尾配水池耐震化工事は順調に進んでおり、配水池の切り替え後、10月には旧配水池の取り壊し工事と外構工事を行い、予定どおり12月には全てが竣工となる見込みです。
また、本年度から着手する豊科・明科地域整備事業の光配水池増設工事については、総合評価落札方式による発注を行うこととしており、8月に公告、9月には入札となる予定です。
下水道事業では、穂高地域において平成3年度から着手し整備を進めている管きょ工事の発注が完了したことから、本年度で概ね施設整備が終了する予定となりました。
また、松川村からの汚水の一部受入については、協定の締結に伴い、年度内に受け入れを開始する予定です。
以上、市政における状況などについて報告させていただきました。
それでは、本定例会に付議しております、議案の概要について説明させていただきます。
今定例会の付議案件は32件で、条例の設置及び一部改正が4件、補正予算関係が11件、決算関係が13件、市道の認定が1件、松本広域連合規約の変更が1件、契約議決が2件でございます。
まず、一般会計補正予算(第3号)につきましては、2,500万円を減額し、歳入歳出予算の総額をそれぞれ413億9,800万円とするものです。
主な内容は、決算に伴う財政調整基金への余剰金の積み立てや冒頭でもご説明しました指定寄附の積み立て、市道新設改良事業及び道路橋梁修繕事業に係わる道路改良費補助金及び街路整備事業に係わる社会資本整備総合交付金の確定に伴う減額、街路整備事業として道路改良工事に伴う事業用地取得のため、「債務負担行為」を追加するものです。
次に、平成28年度の決算状況についてであります。
平成28年度一般会計の歳入決算額は416億3,234万円、歳出決算額は409億2,738万円で、29年度への繰越財源を控除した実質収支額は6億3,554万円でありました。
財政指標につきましては、財政力指数が0.566で、財政構造の弾力性を判断する経常収支比率は85.9%でありました。
また、財政健全化判断比率における実質公債費比率は9.6%、将来負担比率は22.2%で、27年度決算時に比べ、財政の健全化を示す数値は全て改善しており、健全な財政運営が堅持できているものと考えております。
しかし、子育て支援や高齢者介護などの施策の充実、震災等に備えたまちづくりの推進、普通交付税算定替に伴う段階的な減額などを考慮すると、市の行財政運営を取り巻く状況は、更に厳しさを増すことが予想されることから、平成30年度から32年度までの実施計画の作成にあたり、前年度策定した実施計画の一般財源ベースに対し、平成30年度は3%の削減を、平成31年度は5%の削減を図るよう指示しました。
今後とも前例、先例にとらわれることなく、常に経費の削減と健全財政の堅持を念頭に、効率的な行財政運営に努めながら、住んでみたい、住み続けたい、訪れたいと思われる安曇野市を目指してまいります。
予算及び条例等の議案につきましては、各所管部長が説明いたしますので、よろしくご審議をいただきますようお願い申し上げまして、本定例会開会のご挨拶とさせていただきます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。