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収蔵作品紹介(明ける)
収蔵作品詳細
【明ける】
種類:墨彩画
制作年:1999年
サイズ:955×1815mm
北アルプスの峰の向こうから、一日の始まりが訪れる。山頂に雪を頂いたアルプスの白い稜線が、紅色に染まっていく、その初めの一瞬をとらえた作品である。
この後、朝の太陽が険しい山脈を乗り越えて麓の街に一条の光を注ぎ込んだときに、安曇野の夜は明けるのである。よく晴れた早朝、田園が広がる平に立ち西側にそびえる山々の大パノラマを仰ぐと、このような光景に出会う好運に恵まれることがある。
人々が思わず手を合わせ拝んでしまうのももっとも、と思えるほどの美しさである。その畏敬の念は、やってくる太陽とその前に立ちはだかる山脈の両方に向けられるものであろう。鋭くえぐられたような稜線や、日に照らされてくっきりと浮かび上がる尾根の陰影が、絶対的な大きさと存在感を際立たせている。
高橋節郎は、瞼に浮かぶ故郷の山の姿をこのような墨彩画に映し出している。厳しさと表裏一体の美しさは、距離や時間を超えてその心に住み続けている。