本文
第1部
あらすじ
時は1898(明治31)年。
宮城県仙台出身の相馬良(黒光)が、夫・相馬愛蔵の故郷の穂高(現・安曇野市)へ移り住んだ翌年から小説『安曇野』の物語は始まります。
後に近代日本が誇る彫刻家として活躍する荻原守衛(碌山)と良の出逢いや、国内外で活躍する人材を輩出した井口喜源治による私塾「研成義塾」創設のほか、若き日の木下尚江の活躍を描きます。
自由民権運動の旗手として知られる松澤求策(穂高出身)の生きざまや足尾銅山鉱毒問題など、この時代の政治や社会にも触れています。
主な登場人物
人物名 | 肩書 |
---|---|
井口 喜源治(いぐち きげんじ) | 教育者 |
巌本 善治(いわもと よしはる) | 教育者、評論家 |
内村 鑑三(うちむら かんぞう) | キリスト教思想家 |
荻原 守衛(おぎはら もりえ) | 彫刻家 |
北村 透谷(きたむら とうこく) | 評論家、詩人 |
木下 尚江(きのした なおえ) | 社会運動家、作家 |
幸徳 秋水(こうとく しゅうすい) | 社会主義者、思想家 |
島崎 藤村(しまざき とうそん) | 詩人、小説家 |
相馬 愛蔵(そうま あいぞう) | 実業家、中村屋創業者 |
相馬 良(そうま りょう) | 実業家、中村屋創業者 |
田中 正造(たなか しょうぞう) | 政治家 |
布施 淡(ふせ あわし) | 洋画家 |
松澤 求策(まつざわ きゅうさく) | 自由民権家 |
関連年表
年 | できごと |
---|---|
1870(明治3)年 | 相馬愛蔵が白金村(現・安曇野市穂高)に生まれる。 |
1875(明治8)年 | 相馬良(旧姓・星)が仙台で生まれる。 |
1879(明治12)年 | 荻原守衛が東穂高村(現・安曇野市穂高)に生まれる。 |
1884(明治17)年 |
相馬愛蔵が長野県中学校松本支校(現・松本深志高等学校)に入学する。 上級生に木下尚江、同級生に井口喜源治がいた。 |
1887(明治20)年 | 相馬愛蔵が木下尚江とともに上京し、東京専門学校(現・早稲田大学)に入学する。 |
1891(明治24)年 | 政治家の田中正造が足尾銅山鉱毒事件の質問書を衆議院に提出する。 |
1894(明治27)年 |
日清戦争が始まる。 荻原守衛が東穂高禁酒会に入会し、相馬愛蔵、井口喜源治と交友を深める。 |
1897(明治30)年 | 良と愛蔵が結婚し、穂高へ移る。 |
1898(明治31)年 |
相馬夫婦に長女の俊子が生まれる。 井口喜源治が私塾「研成義塾」を創立する。 ★第1部のはじまり |
1899(明治32)年 | 荻原守衛が画家を志して上京する。 |
1901(明治34)年 |
荻原守衛が渡米し、ニューヨークで絵を学ぶ。 相馬夫妻が上京し、東京本郷でパン屋「中村屋」を開業する。 |