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優雅に、納得のいく表現を。ダンススポーツで大活躍の高校生
小林才時さん
世界のしなやかな舞いに、未来の自分を重ねた。
2022年6月4日、ドイツ・ブレーメンで開催されたダンススポーツの世界大会に出場した、当時豊科高校1年の小林才時さん。(公社)日本ダンススポーツ連盟の強化選手として、世界で活躍しています。
パートナーの前田佳音(かのん)さんとは同い年。2人で高みを目指して、日々研さんを積んでいる。
ダンススポーツとの出会い
小さい時から踊ることが好きでした。小学2年生のとき、同じ地区に住むダンススポーツで有名な姉妹の練習を見学したことが、ダンススポーツとの出会いでした。当時、自分に打ち込めるものはありませんでしたが、姉妹のダンスに魅了され、ダンススポーツを始めました。
救われた言葉
小学6年生のころ、所属クラブを変え、パートナーがいなかった時期が苦しかったです。
多くのダンサーは、大会出場を目標に練習していますが、パートナーがいないと大会にすら出場できません。同世代がジュニアの強化選手に指定され、順調に実力をつけていく中、みんなより遅れをとっていると焦りを感じていました。目標が定まらず、練習に身が入らないという悪循環に陥り、違うスポーツをやってみようかと考えたこともありました。
そんな時、両親が掛けてくれた「才時は才時のペースで」という言葉に救われました。両親には、会場への送迎をはじめ、お金のかかる衣装・メイクなど、多くの面でサポートを続けてくれたことにとても感謝しています。
また、同じクラブに強化選手に指定された先輩がいたことで刺激を受けられたこと、そして当時のパートナー・前田佳音さんと出会えたことが大きな転機となりました。そして2022年5月、強化選手に指定されました。
世界を経験した今後の展望
社交ダンスが生活の一部になっているヨーロッパでは、動きの一つ一つがとてもしなやかで感銘を受けました。手を動かすタイミングや腕の伸ばし具合などを細かく研究し、練習を重ね、私のダンスで、見る人を魅了したいです。
取材から1年―
2023年、高校2年生となった小林才時さん。昨年まではジュニアの部で出場しましたが、本年からはユースの部での出場。共に世界を経験した前田佳音さんと4月にカップルを解消後、現在は新たなパートナーの千葉県在住の高校2年生・小西乙愛(めりあ)さんと共に活躍しています。
5月21日のJBDF長野県大会にてカップルデビューし、翌週の5月28日に開かれたJDSF長野県大会A級戦スタンダードとラテンでのダブル優勝を皮切りに、2023年数々の大会で入賞しています。カップルの息の合った動きが欠かせないダンススポーツ。平日は各自練習をし、週末には長野・千葉間をお互い行き来して動きを合わせているそうです。
(公社)日本ダンススポーツ連盟が10月3日に公表した2023年ランキングで、ユーススタンダードの部2位で2023年を締めくくった小林・小西ペア。2人の目標はユース世界選手権に出場することです。しかも、ラテン、スタンダード、ユース10ダンスの3種目すべてでの出場を目指しています。世界選手権に出場するためには、選考基準となる時点でのランキングが2位以上であることが条件です。今後、さらに動きの質を高め、カップルデビュー間もない若い2人の活躍に期待が膨らみます。
<MEMO>
●ダンススポーツ
社交ダンスをベースとしつつ、スポーツ性を追求した競技スポーツ。
●JBDF
公益財団法人日本ボールルームダンス連盟。ボールルームダンスとは「舞踏室で踊るダンス」を意味し、2人組(カップル)で踊るダンスです。ラテン語で「Ball(ボール)」は「踊る」という意味があり、「ボールルーム(ball-room)」で「舞踏室」を意味します。
●JDSF
公益財団法人日本ダンススポーツ連盟。