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誰もが楽しめるコースを求めて 相方はMTBとチェーンソー
構想を思い描きながら作業に没頭する須砂渡の山のパイオニア
(一社)MSJの職員として、MTBの魅力を伝えながら市MTBコースをオープンから支える野村拓未さん。コース整備に情熱を注ぐ野村さんに、作業にかける思いを聞きました。
野村拓未さん
小学生の時に元五輪代表・小林可奈子さん主宰のMTBクラブ安曇野に入り、以来その魅力にのめり込んでいる。コースのオープンから運営に携わっている。2017年開催アーバンサイクリング世界選手権、2018年開催アジアMTB選手権出場。
初心者が楽しめるコースを
市MTBコースがオープンした当初は、営業が始まる午前9時までにコースを試走し、危険箇所のパトロールが主な仕事でしたが、2年目からは整備も行うようになりました。
コースが閉鎖している冬の間は支障木の伐採や土留めなど、コース全体やセクションの改良に力を注いでいます。緩斜面では重機が使えますが、急斜面は手作業。チェーンソーやスコップを使い作業を進めていきます。一つ一つの作業は重労働ですが、「ここをこうしたらおもしろそう」とMTBで疾走しているイメージを膨らませながら、やりがいを持って続けています。
本年1月から取り掛かっているのは、事務所西側にあるくぼ地の有効活用。イベント時には駐車場、通常時にはいろんな人がレジャーで楽しめるような場所にしたいと整備を始めました。市MTBコースは常念岳を横目に森の中を疾走する初級から上級までのコースがあり、抜群の爽快感が得られます。しかし、いずれも未経験者がチャレンジするには難易度が高いコースです。だからこそ、初めてMTBを体験する人でも安全に、この爽快感を得られるコースを作りたいんです。
利用者の声がモチベーション
客さんに「トレイルは生き物なんだ」と言われたことがあります。その言葉通り、コースには複数のラインがあり、自分が通過するラインによってさまざまな楽しみ方ができます。またコースは、天候や降水量によって姿が変わり、同じ日に同じコースを走っても違う姿を見せてくれます。でも、だからといってずっと同じコースで良いというわけではありません。手を入れ改良を加え、常にお客さんが満足できるように努めています。
コース作りで大切にしていることは、お客さんの声です。コースを走り終えた時に感想を聞いたり、自分の改良したセクションの評価を聞いたり。感想が作業に対するフィードバックとなり、新たなアイデアにつながります。あまり自信がなかったセクションの反応が良かった時はうれしく、次へのモチベーションが高まります。
市MTBコースはオープン以来、着々とコースが増えています。コース内も日々変わり続けており、四季の移ろいによって訪れるたびに景色も異なります。まだまだ競技人口が少ないMTBですが、それらを楽しみに、多くの人に足を運んでもらいたいです。
<Memo>
〇セクション
コース上に人為的に作られたテク ニカルなエリアのこと
〇市MTBコース
詳細はこちらをご覧ください
- 午前9時~午後4時
- 利用料 1日200円
- レンタルバイク1時間300円
- 初級者コース、クロスカントリーコース、ダウンヒルコース、コネクトパーク