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チームで分かち合う喜びが 特別な時間と味になる
五感を研ぎ澄ませ自然と向き合う ジビエに魅せられたハンター
市猟友会でハンターとして活動する岩田さんに話を聞きました。

岩田 薫 さん
心が動く仲間との狩り
自分で育てた野菜や釣った魚を食べるように、いつか動物を捕っておいしく食べてみたい。この思いがきっかけで狩猟を始めました。猟友会が狩猟の魅力を伝えるイベント「ハンターと歩く里山」に参加し話を聞いたことで気持ちが固まり、夫と共に入会を決意。さまざまな講習や試験を受けて1年後には狩猟免許を取得し、ハンターへの第一歩を踏み出しました。
11月15日から2月15日の狩猟シーズンには週に1回、猟友会の仲間と巻狩りを行っています。獲物を追う勢子とそれを待ち伏せする立間に分かれ行うこの狩りに求められるのはチームワーク。勢子の私は朝から夕方まで山林を駆け回りますが、疲れは感じません。寒さに耐えて待つ仲間のためにも、速く正確に追って成功させる。その一心で追いかけ仕留めた獲物を共に喜び、分け合って味わう時が狩猟をしていて最も心が動きます。

ついに仕留めた獲物
充実した時間を過ごしながらも、私は猟銃で大型の獲物を仕留められずにいました。夫や同時期に入会した仲間が次々とシカやイノシシを仕留める中、自分は獲物を外し続ける日々。5メートル先の獲物を逃した時には「この先もずっと仕留められないかもしれない」と自信をなくしていました。
ハンターになって4年目の本年2月。その日はいつもとは違う研ぎ澄まされた感覚があり、不思議なほど周囲がよく見え、よく聞こえました。そして、猟銃を構え150メートル先の獲物に向かって撃った一発。その瞬間の手応えに確信を持ち、近づくと初めてシカを仕留めていました。その後、家族で食べた鹿肉の味は忘れられません。
受け継ぎ伝えたい技と教え
私がハンターとして成長を続けているのは、豊富な知識と技術を持った先輩たちのおかげです。動物ごとの足跡や形跡など、経験で培った感覚を見聞きするからこそ学びが深まります。
しかし、ハンターの高齢化は安曇野でも深刻な課題です。先輩の教えを私たちが受け継ぎ、里と里山のつながりを守ってきた狩猟文化を次の世代へ残したい。そして、かつて自分が踏み出せたように、次は私が狩猟の魅力を伝えて誰かの背中を押したい――。そんな思いで活動しています。
食のこだわりから始まったハンターへの道。それは今も変わらず私を動かす原動力となっています。これからも「自分で捕った自然の恵みは感謝して絶対においしく食べる」気持ちを大切に歩んでいきます。
<Memo>
●巻狩り
山を囲んで獲物を一方向に追う勢子と獲物が逃げてきた先で待つ立間に分かれ、グループで行う狩猟方法。

