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自然な出会いから 血のつながりを超えた家族に
人をつないで新たな暮らしを生み出す
実家のような居場所を作りたい
穂高牧の「六花の庵」を拠点に「みんなの実家デー」や「野良コン」などのイベントを主催している佐藤さんと内田さんに思いを聞きました。
佐藤友香さん(穂高・右)
「歩く実家」。「みんなの実家プロジェクト」を主催。
内田晴香さん(穂高・左)
穂高牧の遊休農地を次世代の人たちと未来に引き継ぐことを夢見て活動中。
それぞれの思いがつながって
農家の10人家族の長女として神奈川県の実家で育った佐藤さん。常に人が集まる環境だったこともあり、100人でバーベキューをしたことも。現在は、夫が佐藤さんの姓となり家族4人で安曇野で暮らしています。そんな生活の中で「昔ながらの『家を継ぐ』ということにこだわらず、親族だけではないたくさんの人に関わってもらいながら、新たな実家の形を作っていきたい」と思い「みんなの実家プロジェクト」を立ち上げ活動しています。
一方、三重県出身の内田さんは、血縁を超えた大きな家族で土地を守る暮らし「安曇野縄文ビレッジ」を形にしたいと思い安曇野に移住しました。「ある日、安曇野の山の麓でイメージ通りの空き家を見つけました。迷わず持ち主を調べ手紙を出したことで今の活動の拠点として使わせてもらっています」と暮らし始めたきっかけを振り返ります。「六花の庵」と名付け、みんなでみんなの子どもを見たり、手仕事をしながら思いを語ったりする場を目指し、日々庭や畑を整え生活しています。
野良仕事が自然な出会いに
どこか共通する思いを持った2人はまず、多世代で実家のようにくつろぎ、楽しむ「みんなの実家デー」を始めました。ある時、共通の知人だった女性に良い相手がいたらなという話になり、「みんなの実家デー」のようなアットホームな雰囲気の男女の出会いの場を作りたいと思うように。それが「野良コン」を始めたきっかけとなりました。「このイベントは、私の借りている畑で農作業をしながら話をして、自然な出会いが生まれることを目指しています」と内田さんは話します。
この「野良コン」は、よくある婚活とは違い、参加者同士で深い話をする場。そこから出会いやつながりが生まれればという願いが込められています。「完璧ではない自分自身も出しながら本音で話し、深く関わることをいつも心がけています。お互いを家族のように思い合える関係を築けたらという思いで、その人がその人らしくあることを大切にしています」と佐藤さんは理念を話します。
家族とは何か? 考える活動に
自分たちの個人的な願いや計画にとらわれず、毎回「この場がどうなりたいか」を感じ取りながら進めている居場所づくり。「自分にとって家族とは何か」ということを考える活動でありたいし、誰も体験したことのないような「新しい家族」を参加者と一緒に形にしていきたい――。2人は今後の活動の広がりに夢を膨らませています。
<Memo>
〇みんなの実家プロジェクト
交流を通じて実家のような安心するつながり作りを目指す佐藤さんの取り組み。
〇安曇野縄文ビレッジ
内田さんが昨年5月に発表した1000年先を見据えた暮らしのビジョン。