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出会いと自然がくれた恵み 価値を伝え思いをつなぐ

記事ID:0123686 更新日:2025年1月23日更新 印刷用ページを表示する

終えた命を再び輝かせる剥製の作り手

烏川渓谷緑地のスタッフとして自然の魅力を発信し、動物の剝製作りに励む小椋さんに話を聞きました。

小椋緑さん 

小椋緑さん
東京に生まれ、神奈川県育ち。烏川渓谷緑地に17年勤務し、公園の維持管理などを担当する。工夫を凝らした観察会や展示を企画し、本物に触れることの大切さを伝えている。

再燃した思いと師匠との出会い

子どもの頃から生き物が好きで、近所の川でドジョウやザリガニを捕まえて遊ぶ毎日を過ごしていました。結婚、出産し専業主婦となってから、安曇野に引っ越してきました。それから間もなく子どもと参加した三郷昆虫クラブの観察会が転機となりました。付き添っているうちに、いつしか私も昆虫や植物の名前を覚えるようになり、生き物への好奇心が再燃。子育てが落ち着いたら自然に携わる仕事がしたいという気持ちが強くなっていきました。そんな時、烏川渓谷緑地の開園に合わせスタッフを募集していることを知りました。子育ての真っ最中だったので悩みましたが、家族の後押しもあり応募。夢だった自然に携わる仕事に就くことになりました。
ある日、高圧電線にぶつかって死んだコハクチョウを地元の人が届けてくれました。保存のため剝製にしようと思いましたが、作り方がわかりません。困っていると、園内で作業していた人が元剝製師を紹介してくれました。その人こそ師匠の篠原重道さんです。剝製は作り手によって顔の表情やポーズが異なります。私は野生動物の自然なしぐさや習性を熟知し、今にも動き出しそうな剝製を作る師匠のプロの技を吸収しようと夢中で学びました。共に作った一体一体に思い入れがあり、剝製を見るたびに厳しくも優しかった指導を思い出します。昨年9月に亡くなるまでの17年間、野生に暮らす命と向き合うことで培った特別な感性を伝え続けてくれた人でした。 

​​​剝製の説明をする小椋さん 来館者に剥製の説明をする小椋さん      

伝えたい本物の自然

​動物の皮を剝いで内臓や筋肉など体内のタンパク質を取り除き、詰め物や針金を入れて元の形に縫い合わせ完成させる剝製。緻密で集中力が求められますが、作業中は発見の連続です。タヌキの剝製を作った時には、胃から直前に食べたであろう桑の実が大量に出てきたこともありました。目の前の命がどのように生きたのか思いを巡らせ、その証しに立ち会えることも魅力です。何より一度は死んでしまった命に新たな生き方を吹き込むことで、剝製を見た人が本物の自然を感じてもらえればこれ以上の喜びはありません。
私が剝製作りに取り組めるのは、これまで出会い関わった人たちのおかげです。だからこそ、今まで受け取った恩や価値をさまざまな形で返していきたい――。その時は知識や技術だけでなく、安曇野の自然を大切に守る気持ちも伝え、自然に触れることで得られる思いをつないでいきたいです。

剥製のタヌキ

 

<Memo>
〇三郷昆虫クラブ
地域の小中学生に自然や昆虫と関わる楽しさや自然保護の大切さを知ってもらおうと、平成3年に発足。現在も自然観察会や昆虫採集などを行い、精力的に活動している。


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