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【食の歳時記・冬】信州の伝統野菜「牧大根」の漬物

記事ID:0082488 更新日:2021年11月10日更新 印刷用ページを表示する

安曇野では寒い冬を越えるための知恵として、その昔から各家庭に根付いた漬物文化があります。そこで今回は冬の味覚、信州の伝統野菜「牧大根」を使った漬物について、三澤 育子さん、加島 美智代さんに教えていただきました。

加島美智代さん、三澤育子さん

【お話を聞いた方:加島 美智代さん、三澤 育子さん】
安曇野で農業を営む地元のお母さんたち。代々受け継がれてきた牧地区の家庭の味を守り続けています。
農家/ Vif穂高組合員/長野県農村生活マイスター

牧大根の歴史

牧大根は、明治7年の「村地情景明細表」に産物としての記載があることから、少なくとも明治時代には栽培されていたことが分かっています。長期保存が可能なため、蚕糸産業が盛んであった明治から大正期にかけては漬物用として、現在の岡谷市へたくさんの量が出荷されていました。たくあん漬けのほかにも味噌漬けやおろしにも利用されています。

安曇野の冬の味覚。信州の伝統野菜の牧大根とは?

牧大根の写真

牧大根は、安曇野市穂高牧地区だけで採れる「信州の伝統野菜(※)」です。サイズは15cmから20cmほどで、形は先端に行くほど太くなる独特な形をしています。通常の大根に比べると水分が少なく、繊維が細かくて硬く、辛みが強いのが特徴です。漬物にするとパリパリとした独特の歯ごたえと甘味があり、地元ではごはんのお供やお茶うけとしてよく食べられています。

※「信州の伝統野菜」とは

長野県内で栽培されている野菜のうち、「来歴」「食文化」「品種特性」という3項目について一定の基準を満たしたものを「信州の伝統野菜」として選定している。

安曇野に引き継がれる冬の漬物文化

牧大根をぬかに漬けている写真

今みたいにスーパーマーケットもない時代、安曇野の多くの家では、畑で野菜を育て、鶏を飼うといった自給自足に近い生活をしていました。冬は食べるものが少なくなるため、秋に収穫した野菜を漬物にしておかずにする習慣があり、現在も安曇野では漬物作りが盛んに行われています。11月半ばを過ぎた頃から牧地区のお母さんたちの間では「大根漬けた?」といった会話が交わされます。牧大根を漬け終えたら次に野沢菜などを漬けて冬に備える。こうした昔ながらの寒い冬を乗り越えるための知恵が「漬物文化」として、安曇野の各家庭に残されています。

漬物は「家庭の味」

牧大根の漬物の写真

牧地区では、それぞれの家庭ごとに牧大根の漬け方に工夫を凝らしています。例えば春先に食べるものと初夏に食べるものといったように、食べる時期によって塩分濃度を変え、漬け樽を分けて管理しています。漬け方も醤油漬けやぬか漬け、粕漬などさまざまで、中には柿の皮やナスの葉を入れて漬ける人もいるとか。

漬物は漬ける人によってレシピの違いがあるため、各家庭で味の違いがあるのもおもしろいところですね。ほかにも牧大根の漬物(たくあん)を一度塩抜きして、ごま油で炒めるとごはんのお供にぴったりの1品にもなるそうです。牧地区で代々受け継がれてきた懐かしいお母さんの味を、下記のレシピを参考にぜひお試しくださいね。

牧大根の漬物のレシピ

材料:牧大根10kg、塩500g、米ぬか2kg、三温糖1.5kg、大根漬け用醸源4分の1袋、大きなビニール袋、重石20kg程度

(1)塩、米ぬか、三温糖、醸源を合わせておく
(2)大根をきれいに洗って水を切る(2日ほど日陰においても良い)
(3)桶に大きなビニール袋を広げ、始めに(1)を敷き、その上に大根を一列にならべる。(1)→大根→(1)→大根を繰り返し、最後に(1)を多めに振りかける。
(4)中蓋をし、重石をのせビニール袋を閉じる。
(5)数日経ち水が上がってきたら重石を軽くし、ひたひた程度に浸す。
(6)漬けてから2カ月ほどたつと食べられます。

ポイント

・塩500gで漬けると2月ごろに食べられます。塩800gで漬けると4月以降に食べられます。

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