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【食の歳時記・冬】おしょうゆの実
安曇平で昔から冬の常備菜として食べられてきた「おしょうゆの実」
(※「おしょうゆの実」以外にも「おしょいの実」「しょいの実」などとも言われ、地域によって呼び方は異なります。)
毎年、12月におしょうゆの実のもととなる「豆こうじ」を作っている豊科農村女性学習会のみなさんからお話を聞きました。(写真は、令和3年12月)
【豊科農村女性学習会とは・・・】
地域の農村生活マイスター(県認定)と農村生活アドバイザー(現場で生活改良普及事業を支援した農村女性リーダー)が先達となり、平成6年に前身となる「豊科農村女性勉強会」が発足。
「食育」「加工」「花街道」等の地域活動を実施しており、地元小学校での郷土料理クラブの指導など、安曇野の食と暮らしの伝承等に力を入れている。
おしょうゆの実ってなに?
長野県各地で食されている発酵食品の一種です。
大豆や米麹で作る地域もあるようですが、松本・安曇野地域では、黒豆と押し麦で作った「豆こうじ」を使ったものが定番となっています。
柔らかくした豆こうじに各家庭の好みで味をつけて食べます。発酵した麹が原料のため、発酵食ならではの酸味が特徴です。
昔は、こたつが活躍!?
豊科農村女性学習会(以下、学習会)で、おしょうゆの実づくりを先導してきた田尻さんは、昔から自宅で、おしょうゆの実を作っていたそうで、「昔は、蒸した黒豆と押し麦に麹の菌をつけたものを、自作の木枠の中に広げて、それをこたつの中に入れて発酵させたものよ」とお話くださいました。
今では、加工所の発酵機を使うことで温度管理もしやすくなり、麹づくりが昔よりは楽になったようですが、発酵具合のチェックなどは、やはり熟練の経験が必要で、ベテランの会員から若手の会員に毎年「コツ」が引き継がれています。
(蒸しあがった押し麦と黒豆を麹菌が活発になる温度まで攪拌して冷まし、麹菌をまぶす)
現代風の食べ方も
「おしょうゆの実」というくらいなので、お醤油やみりんで味付けをして甘じょっぱく食べるのが、定番ではありますが、学習会のみなさんは、甘酒で味をつけたり、マヨネーズとあえたりとさまざまなアレンジで楽しんでいるそうです。
麹づくりからというと、大変ですが、市内の直売所等では、「豆こうじ」の販売もありますので、ぜひ1度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
おしょうゆの実レシピ (協力:豊科農村女性学習会)
材料
・豆こうじ 450g
・水 50cc
・しょうゆ 120cc
・みりん 250cc
・酒 50cc
(甘酒) お好みで
(砂糖) お好みで
作り方
- 「豆こうじ」にぬるま湯をひたひたになるくらいまで入れる。
- 1から2時間暖かいところに置く。(※保温ジャーを使うと早くできる)
- 「豆こうじ」が柔らかくなったら余分な水分を切る。
- しょうゆ、みりん、酒、水をあわせ、煮立たせる。好みで甘酒を入れると自然の甘みが増し、一層おいしくなる。
- 柔らかくした「豆こうじ」と、冷ました(4)を混ぜ合わせて、数日置き、味がなじんだら完成。
※必ず冷蔵庫で保管する。