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時と思い出を刻む made in AZUMINOを世界に
安曇野で幼き夢をかなえた 時計職人
洗練されたデザインと正確に時を刻むオリジナル機械式腕時計を製造する株式会社南安精工で時計職人として時計と向き合う岡さん。幼き時に思い描いた「時計職人になりたい」という夢を実現した経緯と腕時計に対する思いを聞きま
した。
岡利謙(おかとしあき)さん
神奈川県出身。都内でシステムエンジニアとして勤務したのち、29 歳の時に幼い時からの夢だった時計職人になるため一念発起し、時計の専門学校に入学。4年間時計に関するノウハウを学び、念願だった時計職人として、株式会社南安精工で勤務。
夢の秒針が動き出す
小学校5年生の時に両親と一緒に訪れた諏訪で時計との運命的な出会いをしました。そこは腕時計づくりを体験できる工房で、初級から上級まで難易度が設定されていました。生まれて初めての本格的なモノづくりだったこともあり、初級を選択。初めて見る腕時計の内部は、1秒1秒正確に時を刻む未知の世界。その繊細な技術に一瞬で心を奪われました。完成した時計を見ながら、「もう一度ここで次は上級の腕時計を組み立て、いつか時計職人になりたい」と夢を描いたのを覚えています。
時が流れ、大学を卒業後、都内でシステムエンジニアの職に就きましたが、働くなか心のどこかで幼い時に感じた時計職人になる夢がくすぶっているのを感じ、28歳のときに夢の原点である諏訪の時計工房を再び訪れることにしました。
幼き日の思いをなぞるように、今度は腕時計づくり上級に挑戦し、夢中で組み立てました。その時、時計職人になりたいという”夢の秒針”が再び動き始めたように思います。
29歳で勤めていた会社を辞め、時計の専門学校に入学、4年間にわたり時計の専門的な技術を学びました。専門学校に通う同級生の多くが時計を修理する企業や販売する企業に就職するなか、自分は時計製造に携われる就職先を探しました。そのとき、たまたま目にとまった「時計職人募集」 の求人。「ここだ!」と直感し、応募したのが現在の勤務先(株式会社南安精工)です。幼い頃からの念願だった時計職人として、やりがいを持って働けています。
写真右:南安精工が手掛けるオリジナルウォッチブランド 「Azusa」
腕時計はもう一人自分
自分の仕事は、時計製造と修理が主な仕事です。取り扱う腕時計は、値段が何千円のものもあれば何百万円もするものまでさまざまです。
値段は違えど、時計を大切に思う持ち主の気持ちに寄り添い、一つ一つ心を込めて丁寧に手掛けています。夢だった時計職人として、時計と向き合っていると、時計の奥深い世界に日々魅了され続けています。自分にとって時計は、時を知らせるだけの道具でなく、思い出を共有する大切なもう一人の自分だと思っています。
いつか自らがデザインした腕時計を作れたらという新たな夢を持ちながら、今後も時計に向き合っていきたいと思います。
<MEMO>
●オリジナルブランド「Azusa」
ブランド名は、梓川のように多くの方に親しまれ、信州を代表する時計となるように、そんな願いが込められています。