本文
聴く人の心に浮かぶ豊かな情景 心落ち着くジャズサウンド
人を思い、仲間と共に 聴く人の時間を豊かにするベーシスト
4月に2枚目のリーダーアルバム「ミラー・オブ・ザ・マインド」をリリースするジャズベーシストの中島仁さん。 かけがえのない仲間と共に、安曇野を拠点にオリジナリティーあふれるジャズサウンドを生み出しています。そんな中島さんにジャズへの思いを聞きました。
中島仁さん
信州を拠点にジャズを中心とした音楽活動を続ける。2024年4月24日、世界的テナーサックス奏者のオーベ・インゲマールソン氏をゲストに迎えたセカンドアルバム「ミラー・オブ・ザ・マインド」(写真右)をリリース。
ジャズは奏者同士の対話
中学生の時に、洋楽のハードロックバンドにハマり、時間を惜しんでレコードを聞きました。高校生になったある日、自然と自分がベースの音を耳で追っていることに気づきました。このベースラインを自分でも奏でてみたいと思うようになりエレクトリックベースを買ったのが、音楽を始めたきっかけです。
大学進学後、もっと上手く弾きたいとの思いと友人の勧めもあってジャズ研究会に入り、それまで自分のジャンルになかったジャズに出会いました。毎日のように楽器とジャズに触れ、ジャズの自由でクリエイティブな音楽性にのめり込んでいきました。
卒業後、県内の情報サービス企業に就職。働きながら演奏を続けていましたが、多くの人々に自分のジャズを聞いて欲しいと思い、2010年にこれまで使っていたエレクトリックベースをコントラバスに持ち替え、本格的な音楽活動を開始しました。
ジャズを通じ多くの人と出会いました。8年前、初めてあったメンバーとの演奏で、自分の理想とするサウンドを奏でることが出来たとき、まるでパズルのピースがピタッと合ったような感覚を覚えました。今、そのかけがえのない仲間や音楽を通じて関わる全ての人と、音楽・時間を共有できていることに幸せを実感しています。
ジャズの魅力は、自由な演奏スタイルです。ジャズライブでは、その場その時限りの音が生まれます。ベースの役割は、リズム、メロディ、ハーモニーをつなぐ音楽の土台(ベース)です。共演者と即興で音を作りあげるジャズは、まるで奏者同士の対話。音作りを楽しむことが出来るのもジャズの面白さだと思います。
聴く人の時間を豊かなものへ
近年は、コロナ禍で対面での演奏が難しく、ミュージシャンにとって大変苦しい期間でした。しかし、自身の音楽性を見つめ直し、今まで以上に仲間の存在や自分の曲を聞いてくれる人たちのことを改めて大切に感じた期間になりました。
そんな期間を経て今回レコーディングしたセカンドアルバムは、音にこだわり、聴く人の心に情景が浮かび豊かな時間になるような曲をイメージして作りました。
生まれ育ったここ安曇野は、北アルプスを背景に雄大な景色が広がり、自分がジャズに求めるイメージとマッチした理想の場所です。安曇野発信の音楽を多くの人に聞いてもらうため地元はもちろん県外でのライブを増やし、ジャズと安曇野の魅力を多くの人に知ってもらえたら嬉しいです。
<Memo>
●ファーストアルバム「ピオッジャ」
2019年、日本音楽スタジオ協会が主催する「日本プロ音楽録音賞」のクラシック・ジャズ・フュージョン部門において優秀賞受賞。