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音楽は五線譜というフォーマットに表現した言語
季節と自然と共に農的暮らしを送り創造力を磨く音楽家
安曇野と東京の2拠点で音楽家として活動しながら、ゲストハウスや酒造会社、障がい者就労施設で働き、米作りにも取り組む笠村さん。季節と自然に寄り添う暮らしの中で自分の信じる音楽を追い続けています。音楽への思いと安曇野での暮らしを聞きました。
笠村 勇樹 さん

自分の信じる音楽を求めて
大学時代はクラシックを専攻しながら、バンド活動に明け暮れる日々を送っていました。しかし、その頃から都会の暮らしにはどこか違和感を抱いていました。音楽を仕事にすると、食べていくために自分が本当にやりたい音楽とは違うものを求められる場面があります。いわゆる「商業芸術」のようなものに疑問を感じていました。転機となったのは、東日本大震災とコロナ禍でした。特に、暮らしの中にあることで人を豊かにするはずの音楽や芸術が「不要不急」とされたことで、自分の暮らしと音楽の関係性を改めて考えるように。
自分が本当にやりたい音楽だけを追い求めたい。そして、地域や季節を大切にした暮らしと両立したいと思い、昨年3月に妻と一緒に安曇野へ移住しました。ゲストハウスなどで働き、米を育て、自給的な暮らしを始めると抱えていた違和感は自然と消えてきていることに気が付きました。

写真:耕運機を操り農的暮らしを送る
音楽は「言語になる前」の表現
今は、安曇野でライブを行った「Homalle Saxophones」などいくつかのバンドに所属して活動していて、そのうちの一つ、「水野蒼生電氣交響楽団」で今夏のフジロックフェスティバルへの出演が決まりました。このバンドはクラシックを現代によみがえらせる現代版オーケストラです。
元々音楽をジャンルで分けることよりその境界を越えて、異なる要素やジャンルが交じり合う感じが好きでした。実は、昔からあるバロックなどはシンプルで即興性が高いんです。今の方が研究が進んだことで難しいイメージになってしまって…。音楽は五線譜というフォーマットに表現した言語の一つだと思っています。言葉は、相手に伝えようとすればするほど説明的になって、本当に伝えたい感覚が薄くなってしまうことがあります。でも音楽は、言葉になる前の感覚を表現できます。「何かわからないけど楽しい」と思ってもらえたら、それが一番うれしい瞬間です。

写真:市内で開いたHomalle Saxophonesのライブ(5/30)
人が集まり新しい表現が生まれる場所へ
自然と共に暮らしながら音楽活動を続け、さまざまな人が集まる場を作ることを夢見ています。ミュージシャンや芸術家など思いを持った人たちが集まって、それぞれの経験や表現を持ち寄れる場所にしたいです。そこから新しい遊びや暮らし方が生まれて、それが、また誰かの暮らしを少しでも面白くすることにつながればいいなと思っています。
【プロフィル】
東京都出身。12 歳の時に吹奏楽を始めたことをきっかけにサックスに出会う。安曇野で農的暮らしを実践しながら創造力を磨き続けている。
Homalle Saxophones主宰。

