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天然記念物「安曇野のオオルリシジミ」

記事ID:0089085 更新日:2022年3月30日更新 印刷ページ表示

指定日:令和4年3月30日

概要

オオルリシジミ(Shijimiaeoides divinus)は、瑠璃色の翅を持つ大型のシジミチョウで、国内にはオオルリシジミ本州亜種(Shijimiaeoides divinus barine)とオオルリシジミ九州亜種(Shijimiaeoides divinus asonis)が分布します。

オオルリシジミ本州亜種は、青森、岩手、福島の東北地方と、長野県を中心とする中部・関東地方に分布していましたが、安曇野を含む県内3か所を除いて絶滅したとされ、環境省のレッドリスト(環境省2020 online)では絶滅危惧IA類(CR)、長野県版レッドリスト動物編(長野県環境部自然保護課編2015)では絶滅危惧IB類(EN)、安曇野市版レッドリスト(2014)では絶滅危惧I類(CR+EN)に選定されています。

オオルリシジミは草原の環境に適応しており、幼虫はマメ科のクララのみを食草とします。安曇野市では、古くから農村の暮らしに適応してきましたが、生活様式の近代化などにより激減し、平成3年(1991)に一度記録が途絶えました。平成6年(1994)に再発見された後、「安曇野オオルリシジミ保護対策会議」を中心に保護活動が行われ、現在は自然発生が続いています。近年では地元住民がクララを植える活動に取り組んでおり、生息地が広がりつつあります。

オオルリシジミの雄と雌の比較
オスとメスの比較

雌の飛翔
メスの飛翔

羽化
羽化直後のオオルリシジミ

クララ
食草のクララ

指定理由

安曇野市文化財保護審議会答申(令和4年3月11日)より抜粋


安曇野のオオルリシジミは、先人たちが堰(水路)を開削し原野を切り拓いてつくった水田環境に生息してきた。唯一の食草であるクララ(Sophora flavescens)は、有毒植物であり、別名ウジゴロシとも呼ばれ、殺虫剤として用いるため古くから畦畔や堰周辺に植えられてきた。こうした人間の営為によって、本天然記念物が生息・生育する草地環境がつくられ、草地特有の生物多様性が維持されてきた。このように、本天然記念物は人の生活と共に生きてきたチョウであるといえ、高い生物多様性を有する草地環境、及びそれをとりまく里山の景観自体まで含めて、本天然記念物の構成要素としての価値がある。

本天然記念物の第一義的な価値は種の存続であるが、その総括的な価値は単に希少性が高いということにとどまらず、先人たちの暮らし及び生物多様性が高かったとされる昭和30年代の里山の景観を知ることにつながる存在であり、安曇野市の自然や生態系の象徴のひとつと解されることに及ぶ。

以上のことから、安曇野のオオルリシジミは安曇野市の文化財の指定等の基準並びに無形文化財及び無形民俗文化財の保持者又は保持団体の認定基準の第1の7(1)アに該当するものとし、安曇野市天然記念物として適当である。

オオルリシジミを見るには

オオルリシジミは、主に国営アルプスあづみの公園堀金・穂高地区(以下「あづみの公園」)内に生息しています。
​5月中旬頃に雄が先に羽化し、メスが羽化するのを待ち構えます。
交尾をしたメスはクララを転々と飛び回り、つぼみに産卵します。
オオルリシジミが舞う姿は6月初旬頃まで見られ、ピークは例年5月20日頃です。

幼虫は6月中に孵化し、クララの花やつぼみを食べて成長します。
体から甘い蜜を出して、アリに提供する代わりに天敵から守ってもらいます。
幼虫を探すときは、アリに注目すると見つけやすいかもしれません。
8月頃には地面に降り、石の下などに潜り込んで蛹になります。

​​あづみの公園では、「安曇野オオルリシジミ保護対策会議」や市と連携し、
例年観察会などの様々なイベントが行われています。
オオルリシジミや保全活動について学ぶことができますので、
興味がありましたらチェックしてみてください。
あづみの公園ホームページ<外部リンク>

生活史
オオルリシジミの一生。一年のほとんどを蛹で過ごす

 

観察するときに注意してほしいこと

許可なく捕獲・採取はできません

安曇野市文化財保護条例に基づき、オオルリシジミの保存に影響を及ぼす恐れがある行為は制限されます。
安曇野市文化財保護条例

また、オオルリシジミは長野県希少野生動植物保護条例で指定希少野生動植物に指定されています。
長野県希少野生動植物保護条例<外部リンク>

あづみの公園​内での観察にご協力をお願いします

オオルリシジミはあづみの公園周辺の農地などでも見られることがありますが、そのほとんどが私有地です。許可なく立ち入ることはご遠慮ください。

保存活用計画

保存活用計画は、文化財の価値を明確にし、その価値を損なわないために保存と活用の取扱い基準を明文化した文化財の取扱マニュアルのようなものです。
保存活用計画を策定することにより、保存と活用のルールが明確になり、共有することができます。

安曇野市天然記念物安曇野のオオルリシジミ保存活用計画 [PDFファイル/6.42MB]

表紙

 

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