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山車の骨組み
安曇野市明科東川手の潮地区にある潮神明宮では、毎年5月4・5日の例大祭にあわせ「柴舟」とよばれる船の形をした山車2隻が地区内を曳き回されます。この柴舟は、安曇野市内で見られるほかの船形の山車と同じように、長方形の櫓に、腕木と刎木を組んで骨組みとしていて、舟の上は勇壮な歴史物語を人形などで飾り付けています。宵祭りで柴舟が曳かれるときには、舟いっぱいに約800本ものローソクが灯されます。ローソクの優しい光をまとった柴舟が、潮区と木戸区の中をゆっくりと進む姿はとてもきれいです。地区内を曳き回された柴舟は、最後に鳥居をくぐって潮神明宮の境内に入場します。鳥居の前には、ミカンのような形をした提燈が鳥居の形に吊るされていて、「みかん燈籠」と呼ばれています。揺らめくローソクの炎をまとった柴舟がこの「みかん燈籠」をくぐる様子は、なんとも幻想的です。
この柴舟の起源は古くまでさかのぼると考えられています。しかし、江戸時代の元禄期に潮神明宮が火事で焼けたため、残念ながらこれより前の記録は残されていません。歴史的にはっきりと確認できるのは、寛政3年(1791年)の古文書(市の有形文化財になっている『関家文書』)で、この頃には舞台(山車)が曳かれていたことが書かれています。このことから、潮神明宮の柴舟は少なくとも300年以上の長い伝統を持つことがわかります。
昭和30年代には、担い手少なくなってしまい祭りの運営が困難な時期もありましたが、現在では、地元の皆さんにより「潮神明宮祭典保存会」が結成され、柴舟や人形飾り物が守り伝えられています。