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空家に関する問題は、いま全国の自治体で大きな課題となっています。
安曇野市内にも1,000戸を超える空家が確認されています。
空家問題とは、空家所有者だけの問題ではなく、また「行政だけ」が頑張って解決するものでもありません。
それぞれの人がそれぞれの立場でできることを、お互いに協力しながら、少しずつ進めていくことが重要です。
○法律上の「空家等」の定義…
「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地」
(「空家等対策の推進に関する特別措置法」第2条)
つまり、
・おおむね年間を通じて使っていない建築物(住居、店舗、工場等)
・その建築物と同じ敷地にある工作物等(塀、門、倉庫等の他、土地に定着する草木を含む)
が空家とみなされます。
・定期的に清掃や草刈り等を実施していても、本来の建物の目的(居住や操業等)で使用していなければ空家に含まれる
・どんなに新しく綺麗な建物でも、空家に含まれることはあり得る
・別荘であっても、使用していないことが常態であれば空家に含まれる
・所有者や近隣の人が「これは空家だ」と認識しているかどうかは関係なく、客観的な状況から判断する
空家は全国で増加を続けており、喫緊の課題となっています。
平成30年に総務省が実施した、「住宅・土地統計調査」によれば、全国の空家の総数は850万戸弱となっています。
この数字には「使用されている別荘等(二次的住宅)」および「売却・賃貸用の住宅」が含まれており、それらを除いた「その他の空家」の数は約350万戸で、住宅の総数に占める割合(その他空家率)は5.6%です。
空家の数、および空家率の推移を見てみると、下図のように増加し続けていることがわかります。
(総務省「住宅・土地統計調査」より)
国ではこの状況に対応するため、「空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)」を策定し、これに基づいて各種の施策を展開しています。
(国の実施する施策の詳細は 国土交通省住宅局 ホームページ<外部リンク> でご確認ください。)
当市においても空家は増え続けていると推測されています。
平成30年の住宅・土地統計調査の結果について長野県内の19市で比較すると、市内の「その他空家率」は12番目となっていますが、その数値は全国平均を上回っており、重大な課題となっていることがうかがえます。
・図:県内19市の「その他空家」の状況(総務省 「平成30年度住宅・土地統計調査」より)
市では平成30年度に、市内の空家の状況を把握するための実態調査を実施しました。
○実施方法
○調査結果
空家であると思われる建物について1,298戸の報告があり、調査の結果、1,143戸が空家台帳に登録されました。
なお、その後は毎年度、各区等に協力をお願いしながら台帳の更新を実施しています。
表:空家台帳の掲載戸数(令和元年度末現在)
安曇野市では、「空家等対策計画」を平成29年度に策定しており、この計画の枠組みに基づいて各種施策を実施しています。
以下の【1】から【3】の事業を進めるため、市役所内外での組織整備や基礎的なデータの整理を実施します。
*なお、空家対策をより強力に推進するため、市では令和2年4月から新たに「空家対策室」を環境課内に設置しました。また、令和4年1月からは移住定住推進課の「空家活用係」として、引き続き市の空家対策に取り組んでいます。
将来の空家の増加をできる限り抑え、また管理不全空家の発生を防ぐため、予防啓発事業を実施します。
既存の空家の流通を活性化し、売買や賃貸等の方法による空家の解消を目指すため、利活用推進事業を実施します。
管理が行き届かず、周辺の環境に悪影響を及ぼしている空家について、所有者特定や所有者への指導等を実施します。