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空家に関する問題は、いま全国の自治体で大きな課題となっています。
安曇野市では、令和4年12月末時点で、931戸の空家を確認しています。市内の空家戸数は、令和2年12月末で1,095戸、令和3年12月末では1,086戸となっており、日々、空家の解体や様々な利活用が進んだことで、前年比で85.7%と減少傾向となっています。
例年、年末時点の空家戸数は、増加・減少を相殺すると減少傾向となっていますが、本市においても少子高齢化や核家族化、人口減少が進む中で、空家数は今後、増加することが推測されています。
これからの対策として、まだ、空家になっていない住宅を空家にしないための予防保全対策、空家になってしまった場合、なるべく短い期間で利活用に向け促進すること、管理不全状態の空家の適正管理、特定空家等の早期解消など、総合的に様々な視点から空家対策を推進することが重要です。
空家の課題とは、空家所有者だけの問題ではなく、地域にとっても大きな問題です。住みよい環境の安心したまちづくりのため、空家の適正管理や管理不全空家の解消はもとより、空家を地域の資源として捉え、利活用を促進することで、地域コミュニティーの維持や活性化が図られ、持続可能な地域づくりの礎を築いていくことができます。
市や関係する組織や団体など、それぞれの人がそれぞれの立場でできることを、お互いに協力しながら、空家に関する関心を高めていくことが重要です。
○法律上の「空家等」の定義…
「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地」
(「空家等対策の推進に関する特別措置法」第2条)
つまり、
・おおむね年間を通じて使っていない建築物(住居、店舗、工場等)
・その建築物と同じ敷地にある工作物等(塀、門、倉庫等の他、土地に定着する草木を含む)
が空家とみなされます。
・定期的に清掃や草刈り等を実施していても、本来の建物の目的(居住や操業等)で使用していなければ空家に含まれる
・どんなに新しく綺麗な建物でも、空家に含まれることはあり得る
・別荘であっても、使用していないことが常態であれば空家に含まれる
・所有者や近隣の人が「これは空家だ」と認識しているかどうかは関係なく、客観的な状況から判断する
空家は全国で増加を続けており、喫緊の課題となっています。
平成30年に総務省が実施した、「住宅・土地統計調査」によれば、全国の空家の総数は850万戸弱となっています。
この数字には「使用されている別荘等(二次的住宅)」および「売却・賃貸用の住宅」が含まれており、それらを除いた「その他の空家」の数は約350万戸で、住宅の総数に占める割合(その他空家率)は5.6%です。
空家の数、および空家率の推移を見てみると、下図のように増加し続けていることがわかります。
(総務省「住宅・土地統計調査」より)
国ではこの状況に対応するため、「空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)」を策定し、これに基づいて各種の施策を展開しています。
(国の実施する施策の詳細は 国土交通省住宅局 ホームページ<外部リンク> でご確認ください。)
当市においても空家は増え続けていると推測されています。
平成30年の住宅・土地統計調査の結果について長野県内の19市で比較すると、市内の「その他空家率」は12番目となっていますが、その数値は全国平均を上回っており、重大な課題となっていることがうかがえます。
・図:県内19市の「その他空家」の状況(総務省 「平成30年度住宅・土地統計調査」より)
市では平成30年度に、市内の空家の状況を把握するための実態調査を実施しました。
○実施方法
○調査結果
空家であると思われる建物について1,298戸の報告があり、調査の結果、1,143戸が空家台帳に登録されました。
なお、その後は毎年度、各区等に協力、地域や隣接の方からの苦情や相談案件を調査し、台帳の更新を実施しています。
・令和元年度 1,064戸
・令和2年度 1,095戸
・令和3年度 1,086戸
・令和4年度 931戸
表:空家台帳 「市内5地域別の簡易危険度別空家数」 (令和4年12月末現在)
安曇野市では、令和5年3月に、「第1次安曇野市空家等対策計画(計画期間 平成29年度〜令和4年度)における事業成果を踏まえ、「第2次安曇野市空家等対策計画」を策定しました。
計画に示す空家対策の基本理念「空家の可能性を活かす!持続可能なまちづくり」の実現に向け、5つの基本方針を柱に具体的な事業に、さまざまな関係者の皆様と協力体制の構築、連携を図りながら、事業を推進していきます。
○基本方針 1 空家の予防保全
2 空家の適切な管理の推進
3 空家利活用の促進
4 管理不全空家等への対策
5 空家等対策に係る体制の整備