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近隣の生活環境に影響を与えないよう空家を適切に管理する責任は、所有者(所有者又は管理者)にあります。
本来、最も望ましいのは、空家等の所有者の連絡先を近隣の方が知っていることです。
日頃から近隣関係を良好に保ち、空家が発生したときには次の所有者等の連絡先を交換しておくことにより、問題が発生しても軽微なうちに対応をお願いすることが可能となります。
市では、寄せられた相談や苦情案件に関して、空家の所有者等へ「空家及び敷地内の適切な管理のお願い」の通知を送付しています。
所有者等の連絡先が分からない等の場合には、移住定住推進課 空家活用係へご相談ください。
市が現地を確認した上で、お申し出の内容と現況をお知らせし、管理等に関する助言、指導を行います。
空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律が、令和5年6月14日に公布されました。
今回の改正では、第5条に「空家等の所有者等の責務」が規定され、空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に 悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるとともに、国又は地方公共団体 が実施する空家等に関する施策に協力するよう努めなければならない。とされています。
A1 民法の改正により、令和5年4月1日から、今まで樹木や庭木などの枝が越境している場合、それらを隣地所有者が、切除することはできませんでしたが、所有者にその枝を切除させることができることを前提としつつ、次のような場合、隣地所有者が切除することもできるようになりました。
【新民法233条】
第1項:土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
第3項:第1項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。
(1) 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。
(2) 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
(3) 急迫の事情があるとき。
市では、空家の所有者等に対し、雑草や庭木の繁茂など切除を促す通知を送付しています。通知発送から概ね2週間経過しても、対応が見られない場合は、隣地所有者に対応が可能と判断されます。
なお、市が直接、枝木の剪定や除草、清掃などを行うことはできませんのでご理解ください。
なお、張り出した枝等により、道路の通行に現に支障が出ている場合は道路管理者が、電線等にかかって危険がある場合には電力会社が、それぞれ対応する場合もあります。
A2 鳥獣保護法により、空家の所有者または管理者であっても、許可がなければ捕獲することはできません。巣がある場合は、中にある卵が保護対象となります。
そのため、市から所有者等へ空家そのものの管理を促すことで、鳥獣が棲み付かないようにしていただくこととなります。
空家の所有者等が取れる手段としては、申請して許可を得た上で自ら捕獲する、専門の駆除業者等へ依頼する、棲み付かないように追い払う、等が考えられます。
なお、市では鳥獣の捕獲や巣の撤去は行っていませんが、捕獲用の檻などの貸付を行っています。
A3 駆除は、基本的に空家の所有者または管理者が行うことになります。
特にスズメバチの場合は巣の撤去に危険が伴うため、専門の駆除業者等へ依頼する必要があります。
市からは原則として、所有者等に対し対応を促す通知を送付することとなります。
A4 空家を要因として、現に自宅への侵害があったり危険な状況にある等、対応を急ぐ必要がある場合は、弁護士へご相談ください。侵害を受けている場合は、「妨害排除請求」が、侵害を受ける可能性がある場合には、「妨害予防請求」ができます。
また、管理不全建物管理制度を活用することで、利害関係者(影響を受けている隣地所有者等)の請求により、地方裁判所に管理人を選任してもらうことで、所有者に代わって、管理人による空家の管理を行うことができ、管理不全状態を解消することが可能となりました。
それ以外の場合には、市から空家所有者等へ管理を促す通知を送付したり、また直接連絡を取ることで対応を依頼していくこととなります。
A5 空家で不法侵入者を確認したときは、不法侵入者がいる間に、警察署へ通報してください。
(不法侵入者ではなく、空家の所有者または管理人である可能性もありますので、十分ご注意ください。)
A6 空家の敷地内に不法投棄されてしまっている場合、土地所有者の責任において、警察署への通報や不法投棄されないよう空家及び敷地内に防止対策を講じるなど、適切な管理を行う必要があります。
市から所有者等へ通知をすることとなりますのでご相談ください。
A7 空家の所有者は、法務局において登記簿で確認することができ、所有者の住所、氏名が記載されています。
これは公の情報であり、どなたでも閲覧することが可能です。但し、記載されている住所については、所有者が転居し登記上の住所地を変更していない可能性もあるため、正確な情報が入手できないこともありますので注意が必要です。
登記簿上の情報が正確でない場合は、司法書士や行政書士が調査できる場合がありますのでご相談ください。
A8 相続人がいないまたは相続人全員が放棄したなど相続人不存在の場合は、弁護士又は司法書士にご相談ください。
その空家に対して、利害関係者であることが認められれば、家庭裁判所に、「相続財産清算人」の選任を申し出ることができます。
相続財産清算人により、空家などを含めた財産の整理や活用、清算が可能です。整理された財産で余剰が生じた場合は、国庫へ帰属します。
相続財産清算人の選任には、予納金が必要となりますが、財産整理により換価されれば、余剰金は返金されることがあります。
A9 利害関係者(空家の敷地所有者)として空家を解体したい場合は、空家所有者に対して、建物収去土地明渡請求を行うことができます。
またQ8で述べた相続財産清算人を選任してもらう方法もあります。
いずれの場合もまずは弁護士等へご相談いただくこととなります。